2020年12月の公演メモ/新国立《こうもり》/岩松了の新作/新国立バレエ『くるみ割り人形』/BCJ定演/民藝+こまつ座『ある八重子物語』/風姿花伝『ミセス・クライン』/都響《くるみ割り人形》/BCJ《第九》

2020年12月に観た公演について簡単にメモする。 5日(土)14:00 新国立劇場オペラ オペレッタ《こうもり》指揮:クリストファー・フランクリン/演出:ハインツ・ツェドニク/美術・衣裳:オラフ・ツォンベック/振付:マリア・ルイーズ・ヤスカ/照明:立田…

1月のフィールドワーク予定 2021【追記】【追加】

コロナ禍により実演者と受容者が同じ時空を共有して初めて成立する実演芸術の上演が、困難もしくは厳しく制限されるようになった。関係者たちは知恵を絞り、インターネットを介した映像や音楽の配信などで、一定の喜びや利益を生み出した。これはネットや IT…

新国立劇場 2020/2021シーズン開幕バレエ『ドン・キホーテ』全6キャスト

以下のメモは配信収録の10月31日分まで書いて息切れし、放置していた。が、昨夜 吉田都に密着したNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見て、書きかけを思い出し、楽日の手書きメモを転記しアップすることにした。 吉田都 新芸術監督の記念すべきオープニ…

12月のフィールドワーク予定 2020【追加】

オペレッタ「こうもり」とバレエ「くるみ割り人形」はどちらも大好きな音楽だ。が、新国立劇場が採用した後者のイーグリング版は振付・美術・演出(特に曲の削除と順番の変更)のいずれも評価できない。ゆえに見るのは初日の小野・福岡組と米沢・井澤組(2回…

新国立劇場バレエ団 ダンス『SHAKESPEARE The Sonnets』2020【一部修正】

『Shakespeare THE SONNETS』の2日目/千穐楽を観た(11月29日14:00/新国立中劇場)。初日の小野絢子・渡邊峻郁の舞台も見たかったが、BCJの定演と重なり断念。この2日目もオペレッタ《こうもり》とぶつかったが、こちらは次週の土曜日に振り替えた。 構成…

11月のフィールドワーク予定 2020【再追加】

今月の公演は少なめだが、楽しみな舞台が並ぶ。藤倉大の新作オペラは、H.G.ウェルズの小説に基づく。SFを手にすることは滅多にないが、これを機に、原作の「世界最終戦争の夢」はもとより、『タイムマシン』や「塀についた扉」なども読んでみた。中村恩恵の…

10月のフィールドワーク予定 2020【追加】

今月は久し振りに公演数が多い。コロナ禍の影響で色々な変更はあるが、やっぱり嬉しい。延期になっていた演劇『馬留徳三郎の一日』や吉田都新芸術監督が初めて手がけるバレエ『ドン・キホーテ』等には期待が膨らむ。一方で、不安もある。9月23日の収容率緩和…

9月のフィールドワーク予定 2020【追加】

舞台公演は少しずつ戻ってきてはいる。政府は19日頃から「観客が大声を出す場面が少なく、飛沫が飛散する恐れが小さいコンサートや、能・歌舞伎など古典芸能のイベントを対象に、50%以内の制限をなくす方向で検討している」らしい(「朝日新聞」9月9日)。が…

8月のフィールドワーク予定 2020【加筆・修正】

5ヶ月ぶりに生のオーケストラを聴いた。このかたちでBCJ の《マタイ受難曲》を体験したのは偶然だが、必然のようにも感じる。《マタイ》は一番好きな楽曲だ。感染防止のため器楽と合唱の配置が入れ替わり、奏者・歌手間もかなり距離がある。が、特に違和感は…

7月のフィールドワーク予定 2020

今月は新国立劇場バレエによる一公演のみ。7時間かかるというルパージュの舞台は見たかった。 4日(土)17:00 オラトリオ《箱舟》作曲:イェルク・ヴィトマン/指揮:ケント・ナガノ/ソプラノ:マルリス・ペーターゼン/バリトン:トーマス・E. バウアー/…

6月のフィールドワーク予定 2020(中止の記録)【配信版の追記など】

緊急事態宣言は5月25日をもって解除された。が、以下の通り、6月に予定していた公演もすべて中止。バレエの再演やオペラの新制作ももちろん残念だが、岡田利規版の夢幻能、鈴木雅明+BCJ(コーラス)とN響とのコラボ『ミサ・ソレムニス』はぜひ見た(聴きた…

5月のフィールドワーク予定(中止・延期の記録)2020【改訂】

今月はコロナ禍の真っ只中。観る予定の公演はほぼ中止か延期となった。後者すなわち中止を免れたのは BCJ定期とコンポージアム関連のみ。 舞台芸術を最後に観た/聴いたのは、オペラ 2月6日『セビリアの理髪師』(新国立劇場オペラハウス)、バレエ 2月26日『…

文学座 3月アトリエの会 岸田國士フェスティバル『歳月/動員挿話』【加筆修正】

岸田國士の『歳月/動員挿話』を観た(3月26日 14:00/ 文学座アトリエ)。 美術:島根慈子、石井強司 照明:阪口美和 音響:丸田裕也 衣裳:宮本宣子 舞台監督:岡野浩之/制作:田中雄一朗、友谷達之、最首志麻子/宣伝美術:藤尾勘太郎 当初は他の公演と…

劇団銅鑼公演 No. 54 詩森ろば『蝙蝠傘と南瓜』& unrato #6 木下順二『冬の時代』

『蝙蝠傘と南瓜』(3月20日 14:00/銅鑼アトリエ)と『冬の時代』(3月21日 15:00/東京芸術劇場 シアターウエスト)の2日目を観た。 『蝙蝠傘と南瓜』は詩森ろばが劇団銅鑼のために書いた新作で、幕末から明治への激動期に日本(世界)初の女性写真家とな…

4月のフィールドワーク予定 2020/コロナと劇場【さらにさらに中止が】【振替←中止】【加筆】

劇場文化の成立条件は、実演者と観客のからだが「いま、ここ」に現前するという一事につきる。両者のあいだで絶えず行き来する精神的なエネルギーの交換(目にみえない糸を通じての感情の交流)によってこそ、舞台は命をもつからだ(スタニスラフスキー)。…

新国立劇場バレエ『マノン』2020 新たなマノン像

『マノン』のゲネプロ、初日、2日目、3日目を観た(2/21 金,22 土,23 日 14:00,26 水 19:00/新国立劇場オペラハウス)。 このバレエ団が『マノン』を上演するのは、2003年、2012年に続き三回目。 初日と2日目は米沢/ムンタギロフ/木下。ゲネプロと3日目…

3月のフィールドワーク予定 2020/コロナで中止?【さらにさらに中止が】【再再追加】

新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由に公演中止が出ている。初動で専門的知見に基づいた十全な対応をとっていれば、こんなことには…。大変残念だ。新国立劇場バレエの『マノン』は見る機会が少ないだけに最後まで上演してほしかった。特に米沢唯と井澤駿…

2月のフィールドワーク予定 2020【修正】

今月は青年団の『東京ノート』が国内では8年ぶりに再演され、究極の〝多言語同時多発演劇〟という『東京ノート・インターナショナルバージョン』(7カ国版)も上演される。マクミラン振付のバレエ『マノン』を新国立劇場が再演するのも8年ぶり。シルヴィ・…

1月のフィールドワーク予定 2020/一年を振り返る【再追記】

2019年もあとわずか。この一年間、オペラ、バレエ(ダンス)、演劇にクラシックコンサートを含めた劇場文化(芸術)をフィールドワークしてきたが、公演数は117。例年と大差ない。ただ、バレエが少し減り演劇が増えている。ここで簡単に一年を振り返りたい。…

12月のフィールドワーク予定 2019

遅ればせながら、終了した公演も含めた今年最後のフィールドワーク予定を記す。 1日(日)14:00 中村恩恵×新国立劇場バレエ団『ベートーヴェン・ソナタ』振付:中村恩恵/音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン/照明:足立 恒/美術:瀬山葉子/衣裳…

「木下晋展 いのちを描く」2019

「木下晋展 いのちを描く」を見た(11月14日、17日/ギャラリー枝香庵)。 枝香庵は2年前の「木下晋展 表現の可能性」で初めて訪れた。ギャラリーは古い銀座ビルディングの7Fと8Fにあるのだが、広い展示スペース(7F 枝香庵Flat)だけでなく、屋根裏を思わせ…

新国立劇場 演劇『どん底』2019/喜びは伝わったが

ゴーリキーの『どん底』を観た(10月18日 18:30/新国立小劇場)。楽日の三日前となったのは、12日(土)13:00の公演が台風19号の影響で中止となり、振り替えたため。 最後に『どん底』を見たのはもうずいぶん前だ。演出は千田是也(1904-94)、場所は砂防会…

11月のフィールドワーク予定 2019【キャスト一部変更】【追記】【新日フィル演奏の正確な曲名】

今月は新国立劇場 三部門の上演作に注目している。オペラではドニゼッティの《ドン・パスクワーレ》が新制作され、劇場初演となる。演劇部門の『あの出来事』(2013年初演)は、極右青年がノルウェーで起こした銃乱射テロ事件を扱った作品で、登場人物は2人…

佐藤俊介とオランダ・バッハ協会管弦楽団/驚嘆すべき音楽家

「佐藤俊介とオランダ・バッハ協会管弦楽団」のコンサートを聴いた(10月5日 14:00/彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール)。 音楽監督/ヴァイオリン:佐藤俊介 ヴァイオリン:アンネケ・ファンハーフテン、ピーテル・アフルティト ヴィオラ:フェムケ・ハウ…

新日本フィル #611 定演/未完の二作【コメントへ返信】

新日本フィルの定演 #611 トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉の初日を聴いた(10月4日 19:15/すみだトリフォニーホール)。指揮は上岡敏之、コンサートマスターは崔文洙。 フランツ・シューベルト(1797-1828)交響曲第7番 ロ短調 D759「未完成」 第1楽章は…

10月のフィールドワーク予定 2019【追記】

音楽では、新国立の新制作オペラ《オネーギン》、上岡=新日本フィルの〝モツレク〟音楽監督 佐藤俊介の率いるオランダ・バッハ協会の公演が並ぶ。/演劇では、野田秀樹の新作『Q』と、数十年ぶりに見る『どん底』がある。前者はたまたまフライヤーを見たの…

新日本フィル #609 定演 /ブルックナー#7/希望としての歌

新日本フィル #609 定演 ジェイド〈サントリーホール・シリーズ〉を聴いた(9月5日 19:00/サントリーホール)。指揮は上岡敏之。コンサートマスターは崔文洙。遅まきながら、ごく簡単にメモする。 フランツ・シューベルト(1797-1828):交響曲第4番 ハ短調…

9月のフィールドワーク予定 2019【再追記】

スウェーデン王立劇場の来日公演でベルイマンが『ハムレット』『サド公爵夫人』を演出したのは昭和が終わる頃だったか(東京グローブ座)。どちらも印象深いが、とりわけ後者はミリ単位の演出に舌を巻いた。その彼が書いたドラマとあれば、見ないという選択…

DULL-COLORED POP 福島三部作・第三部『2011年:語られたがる言葉たち』

福島三部作 第三部『2011年:語られたがる言葉たち』二日目マチネを観た(8月15日 14:00/東京芸術劇場 シアターイースト)。 作・演出:谷 賢一/美術:土岐研一/照明:松本大介/音響:佐藤こうじ/衣裳:友好まり子/舞台監督:竹井祐樹/演出助手:美波…

DULL-COLORED POP 福島三部作 第二部『1986年:メビウスの輪』昨年の第一部も少々【+脚注】

福島三部作 第二部『1986年:メビウスの輪』の二日目を観た(8月9日19:00/東京芸術劇場シアターイースト)。 簡単にメモする。が、その前に、昨年7月に観た第一部『1961年:夜に昇る太陽』についても少しだけ。 細部は覚えていないが、こころが強く動いた舞…