2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

別役実『やってきたゴドー』 「いわゆる」をめぐって

5月25日(金)俳優座劇場で別役実の『やってきたゴドー』を見た。 演出:K. KIYAMA/美術:石井みつる 五年ぶりの再演らしい(初演は未見)。いうまでもなくベケットのパロディだ。あれだけ待っても来なかったゴドー(吉野悠我)が、ついにやって来た。だが…

文学座アトリエ公演『NASZA KLASA ナシャ・クラサ』 異なる話法の語り分けについて

5月26日(土)文学座アトリエで『NASZA KLASA ナシャ・クラサ 私たちは共に学んだ——歴史の授業・全14課』を観た。作:タデウシュ・スウォボジャネク/演出:高瀬久男/訳:久山宏一+中山夏織。休憩を挟んで2時間40分。 刺激的な舞台だった。ポーランド人と…

新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』 成長した小野/ラインの川村/誰にも似ていない米沢/対話力の菅野

新国立劇場バレエ団の『白鳥の湖』を全4キャストで観た。初日の5月5日(土)はザハロワとウバーロフに代わり、中国中央バレエ団からワン・チーミンとリー・チュンがゲスト出演。 ジークフリート役のチュンは、国を代表しての出演を意識してか緊張が感じられ…

ラ・フォル・ジュルネ 疲弊のなかのコーラス(カペラ・サンクトペテルブルク)

一年ぶりのラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン。テーマは「Le Sacre Russe——サクル・リュス——」。2005年の「ベートーヴェンと仲間たち」以来、毎年足を運んできた。低料金で最高の音楽を提供し、新たなクラシックファンを開拓したいというルネ・マルタンの…

ローラン・プティの『こうもり』 ウィーン国立と新国立劇場のバレエ

ウィーン国立バレエの『こうもり』を東京文化会館で観た(2012.4.29ソワレ)。 やはりこの作品は素晴らしい。ローラン・プティは天才である。ただし、公演は踊りも音楽も低血圧。カンパニーの意向で「洗練」を目指した結果、あのように抑えた静謐な舞台にな…

野田秀樹『The Bee』 人間の非合理性と「ハミングコーラス」

野田作品は『パンドラの鐘』(1999)『贋作・桜の森の満開の下』(2001)『透明人間の蒸気』(2004)ぐらいしか観ていない。そこに才能の豊かさは感じたが、深刻な主題をちらつかせながらコトバ遊びではぐらかす手法には違和感があった。ヴェルディの『マク…