2018-01-01から1年間の記事一覧
今年もあとわずかで終わる。その前に大急ぎで一年を振り返ろう。まず想起するのは新国立のオペラ《フィデリオ》(5月)だ。ドールハウスのような舞台セットが上下するなか、「レオノーレ」序曲第3番を合図にあっと驚く展開へ突入する。予定調和を排したカタ…
『スカイライト』本公演の中日を観た(12月15日 18:00/新国立小劇場)。 やはりプレビュー初日とはまったく違う。2回のプレビューと三日間の稽古を経て10回余りの上演を重ねてきた舞台。俳優たちは役を生きつつ、さらに成長してきたのだろう(あの膨大な科…
ジョナサン・ノット率いる東響の《フィガロの結婚》を聴いた(12月9日 13:00/サントリーホール)。 これでダ・ポンテ3部作の完結。2016年《コジ・ファン・トゥッテ》(芸劇コンサートホール)、17年《ドン・ジョヴァンニ》(ミューザ川崎シンフォニーホー…
デイヴィッド・ヘア作『スカイライト』のプレビュー一日目を観た(12月1日 14:00/新国立小劇場)。小川絵梨子が芸術監督に就任後、初めての演出作品。 新シーズンの前二作はいずれもキャスティング等に疑問を感じた。カミュの『誤解』(10月)では演出の稲…
新国立劇場のオペラと演劇は今秋から新たな芸術監督によるシーズンを開始した。前者は《魔笛》、後者は『誤解』と『誰もいない国』の二作のみだが、いずれもキャスティングに疑問符が付き、いまのところ期待外れといわざるをえない。両部門ともさらなる作品…
標記のコンサートを聴いた(4日 15:00 佐藤俊介/所沢市民文化センター ミューズ キューブホール)。 出遅れたため東京公演はすでに売り切れで、所沢公演の残っていた一枚をかろうじて入手。このホールは初めてだが音響はとてもよく、三方からステージを囲む…
『ソウル市民』『ソウル市民1919』をそれぞれ同日のマチネとソワレで観た(10月20日 14:30, 18:00/こまばアゴラ劇場)。 『ソウル市民』(初演 1989年)はフレデリック・フィスバック演出を見たのみで(2005年12月/シアタートラム)、『ソウル市民1919』(…
11月はさすがに公演が多い。新国立劇場バレエは新制作『不思議の国のアリス』で遅まきながら事実上のシーズン開幕。本作は2011年に英国ロイヤルバレエで初演され、2013年には日本への引越公演もあったらしい(未見)。今回はオーストラリア・バレエとの共同…
新国立劇場の2018/2019シーズンが開幕する。オペラと演劇の二部門では新しい芸術監督が就任した。大野和士が率いるオペラは新制作の《魔笛》から(これを機に新シーズンからプルミエ会員に復帰した)。演劇部門の小川絵梨子はカミュの『誤解』を選んだ。両者…
昨日『十二人の怒れる男たち』を俳優座劇場で見てきた(9月8日 14:00/俳優座劇場)。演出:西川信廣、翻訳:酒井洋子。 このプロダクションを見るのはたしか四回目だが(昨年の公演)、今回で「一旦区切りのファイナルステージ」となるらしい(プログラム/…
この夏は「共感」についてあれこれ読みながら再考している。その際、演劇論プロパーよりエドマンド・バークやアダム・スミスの著作の方がやはり面白い。彼らの省察から劇場文化に資する知恵を引き出せないか等々。8月のフィールドワークは少なめだったが、9…
『音楽と舞踊の小品集〜水・空気・光』のソワレを見/聴いた(8月30日 19:00/横浜みなとみらいホール 大ホール)。 このホールは、たしかサヴァリッシュ指揮のフィラデルフィア管弦楽団を聴いたのが最初で最後。調べたら2001年5月だった。「開館20周年」な…
「Summer / Night / Dream」の二日目(楽日)を観た(8月26日 14:00/新国立中劇場)。 「Cloud/ Crowd」2014「Move/ Still」2016 に続きこれが三回目。これまでも面白かったが(Cloud/ Crowd)、今回シェイクスピアの戯曲をフレームに用いることで最も纏ま…
猛暑の日が続いている。このなかで舞台を見に行くのは大変だが、演じる(歌う/踊る)側はどんなだろう。本当に頭が下がる。8月は一週間帰省することもあり、公演は少なめ。したための『文字移植』は演出家コンクールでよいと思った和田ながら氏の演出舞台。…
アップが遅くなった。すでに終了した公演は感想メモも付す。 1日(日)14:00 新国立劇場オペラ《トスカ》指揮:ロレンツォ・ヴィオッティ/演出:アントネッロ・マダウ=ディアツ/美術:川口直次/衣裳:ピエール・ルチアーノ・カヴァッロッティ/照明:奥…
平田オリザの新作『日本文学盛衰史』の初日と中日を観た(6月7日,22日 19:30/吉祥寺シアター)。 原作者の高橋源一郎は前に朝日の論壇時評を楽しみに読んでいたが、小説はまったく未読。公演の数日前に小説『日本文学盛衰史』(2001)をあわてて読み始めた…
カタリーナ・ヴァーグナー演出の《フィデリオ》は刺激的だった。初日に演出家めがけてブーイングとブラボーが飛び交ったのは新国立劇場では久し振り。ブーが「待ってました」と気持ちよさそうに聞こえたのは気のせいか。近年この劇場(特にオペラ)の客層は…
横山卓也の作品を初めて観た(5月19日 15:00, 19:00, 26日 15:00, 19:00/こまばアゴラ劇場)。関西弁による対話劇は思いのほか質が高く、演劇特有の喜びも味わえた。これもアゴラ劇場の支援会員になったお陰。見た順にメモを記す。まずは19日の2作品から。…
一次審査(金曜)の二日後(日曜)二次審査も見てきた(5月13日 14:00-18:30/こまばアゴラ劇場)。 審査員平田オリザ(こまばアゴラ劇場芸術総監督・劇作家・演出家) 岩井秀人(劇作家・演出家・俳優) 佐々木敦(批評家) 松田正隆(劇作家・演出家) 柳…
劇場支援会員限定公演「こまばアゴラ演出家コンクール」の一次審査を観た(5月11日 17:30-21:00/こまばアゴラ劇場)。今年度初めて支援会員になったのはこれが目当てだった。 実行委員会によれば、100名を越える応募者から二段階の書類(資料・映像等)審査…
4月からこまばアゴラ劇場の支援会員になった。年会費3万円で劇場の主催・提携公演すべてを何度でも見ることができる(予約は必要)。アゴラ劇場での作品が多いのはそのため。だが、入会した一番の理由は、今年から新たに開催の『演出家コンクール』にあった…
2〜3月は内容の濃い舞台が目白押しで充実したフィールドワークができた(メモは下書き欄に溜まったままだが)。新年度がスタートする4月は仕事の都合でフィールドワークの対象公演は少なめ。5日(木)17:00 東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.9《ローエング…
昨夜標記のコンサートを聴いた(3月19日 19:00/すみだトリフォニーホール)。 新日本フィルハーモニー交響楽団の音楽監督 上岡敏之によるピアノリサイタル。定期会員やセット券購入者を楽団が招待したものだ(座席選択も可)。つまりクローズドだから、業者…
劇団銅鑼の『おとうふコーヒー』を観た(3月13日 14:00/東京芸術劇場シアターイースト)。 詩森ろばの作品を見たのは二年前の『残花――1945 さくら隊 園井恵子』が初めてで、強く印象づけられた。今回はどうか。簡単にメモする。 美術:田中敏恵 照明:杉本…
2018 都民芸術フェスティバル参加公演『ライモンダ』2日目のマチネとソワレを観た(3月11日 13:00, 18:00/東京文化会館)。 本作の全幕を見るのは九年振り。とはいえ見たのはほとんど牧阿佐美の新国立版(2004年10月、06年10月、09年2月)で、別ヴァージョ…
ルビー〈アフタヌーン・コンサート・シリーズ〉#12 の初日を聴いた(2月16日 14:00/すみだトリフォニーホール)。 BCJの鈴木雅明氏が初登場するので楽しみにしていた。三週間以上経ってしまったが、簡単にメモする。 指揮:鈴木雅明 管弦楽:新日本フィルハ…
今日「すみだ平和祈念コンサート2018」を聴いてきた(3月10日 18:00/すみだトリフォニーホール)。 取り急ぎ、簡単にメモする。 指揮:上岡敏之 管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団 コンサートマスター:崔 文洙 ドヴォルザーク作曲 ヴァイオリン協奏…
オペラ《松風》の初日と2日目を観た(2月16日 19:00, 17日 15:00/新国立劇場オペラハウス)。 やっと細川俊夫のオペラが新国立劇場で上演された。素直に嬉しい。声のパートをトランペットやオケにアレンジした「松風のアリア」だけは2013年にサントリーホー…
木下順二(1914-2006)の「神と人とのあいだ」二部作は「軍部権力者と民衆自身の戦争責任を追及」した戯曲(帯文)。東京裁判を扱った第一部『審判』(初演1970)の再演は2006年に見たが、第二部『夏・南方のローマンス』(初演1987/再演2013)は未見だった…
2017年8月15日(火)15:40 Vermeer and the Masters of Genre Painting: Inspiration and Rivalry@National Gallery of Irland, Dublin 昨年の8月初旬から約一ヶ月間アイルランドのダブリンへ出張。中心街を歩いていると、偶然フェルメール展のフラッグが目…