2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

能「隅田川」+教会オペラ《カーリュー・リヴァー》/ブリテンの教会寓意劇とその原作を連続上演/充実した希有な企画

能の「隅田川」とベンジャミン・ブリテンの教会オペラ(教会寓意劇)《カーリュー・リヴァー》を東京藝術大学の奏楽堂で観た(10月28日)。《カーリュー・リヴァー》はブリテンが日本訪問時に観た能の「隅田川」に触発され作曲した作品。プログラムによれば…

新国立劇場バレエ『シルヴィア』初日/はからずも小野の非凡さが/音楽(指揮者)は物足りない

新国立劇場でビントレーのバレエ『シルヴィア』初日を観た(10月28日)。まずは簡単なメモから。 音楽:レオ・ドリーブ 振付:デヴィッド・ビントレー 美術:スー・ブレイン 照明:マーク・ジョナサン 庭師/エロス:吉本泰久 伯爵夫人/ダイアナ:湯川麻美…

新日本フィル定期演奏会 トリフォニーシリーズ第一夜/代役指揮者はエル・システマ出身/聴き手の免疫性を高める演奏

新日本フィルハーモニー交響楽団の第500回定期演奏会を聴いた(10月26日/トリフォニーホール)。 当初予定の指揮者ヴォルフ=ディーター・ハウシルトが急病のため来日できず、代わりにドミンゴ・インドヤンが出演。この若手指揮者は、例のエル・システマで…

新国立劇場 演劇『リチャード三世』/卑小で道化たリチャード/倉野章子のヨーク公爵夫人に感動/演出としては物足りなさも

シェイクスピアの『リチャード三世』を新国立中劇場で観た(10月3日=初日/19日)。 演出:鵜山仁/翻訳:小田島雄志/美術:島次郎/照明:服部基/音響:上田好生/衣装:前田文子 三年前の『ヘンリー六世』三部作は、一挙上演の祝祭性と演出家(当時は芸…

新国立劇場オペラ『ピーター・グライムズ』(3)質の高い上演/字幕・対訳には疑問も

(字幕=対訳の不適切な部分をいちいち指摘するのは気が重い作業だが、せっかくの優れた舞台が不正確な字幕によって損なわれたとの思いが拭えないため続けざるをえない。) 第2幕 第1場から続く間奏曲 IV パッサカリアは、不吉な調べを奏するヴィオラのソ…

BCJによるメンデルスゾーン《パウルス》/永遠に聴いていたいと思わせる名演

バッハ・コレギウム・ジャパンによるメンデルスゾーンのオラトリオ《パウルス》を聴いた(東京オペラシティコンサートホール タケミツ メモリアル/10月14日)。 指揮:鈴木雅明/合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン(コンサートマスター:寺神戸亮…

新国立劇場オペラ『ピーター・グライムズ』(2)質の高い上演/字幕・対訳には疑問も

前回に続き、だらだらと舞台を追っていきたい。 休憩後は間奏曲 III「日曜の朝」から始まる。ホルンが教会の鐘を打ち鳴らし木管のスタッカートで小鳥の囀りが朝を活気づけると、ヴィオラとチェロがエレンのアリアを予告するように奏し、そのまま第2幕 第1…

新国立劇場オペラ『ピーター・グライムズ』(1)質の高い上演/字幕・対訳には疑問も【加筆】

ベンジャミン・ブリテンの『ピーター・グライムズ』初日を観た(10月2日)。 指揮:リチャード・アームストロング/演出:ウィリー・デッカー/美術・衣装:ジョン・マクファーレン/照明:デヴィッド・フィン/合唱:新国立劇場合唱団/合唱指揮:三澤洋史…