その他
舞台公演は少しずつ戻ってきてはいる。政府は19日頃から「観客が大声を出す場面が少なく、飛沫が飛散する恐れが小さいコンサートや、能・歌舞伎など古典芸能のイベントを対象に、50%以内の制限をなくす方向で検討している」らしい(「朝日新聞」9月9日)。が…
5ヶ月ぶりに生のオーケストラを聴いた。このかたちでBCJ の《マタイ受難曲》を体験したのは偶然だが、必然のようにも感じる。《マタイ》は一番好きな楽曲だ。感染防止のため器楽と合唱の配置が入れ替わり、奏者・歌手間もかなり距離がある。が、特に違和感は…
今月は新国立劇場バレエによる一公演のみ。7時間かかるというルパージュの舞台は見たかった。 4日(土)17:00 オラトリオ《箱舟》作曲:イェルク・ヴィトマン/指揮:ケント・ナガノ/ソプラノ:マルリス・ペーターゼン/バリトン:トーマス・E. バウアー/…
緊急事態宣言は5月25日をもって解除された。が、以下の通り、6月に予定していた公演もすべて中止。バレエの再演やオペラの新制作ももちろん残念だが、岡田利規版の夢幻能、鈴木雅明+BCJ(コーラス)とN響とのコラボ『ミサ・ソレムニス』はぜひ見た(聴きた…
今月はコロナ禍の真っ只中。観る予定の公演はほぼ中止か延期となった。後者すなわち中止を免れたのは BCJ定期とコンポージアム関連のみ。 舞台芸術を最後に観た/聴いたのは、オペラ 2月6日『セビリアの理髪師』(新国立劇場オペラハウス)、バレエ 2月26日『…
劇場文化の成立条件は、実演者と観客のからだが「いま、ここ」に現前するという一事につきる。両者のあいだで絶えず行き来する精神的なエネルギーの交換(目にみえない糸を通じての感情の交流)によってこそ、舞台は命をもつからだ(スタニスラフスキー)。…
新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由に公演中止が出ている。初動で専門的知見に基づいた十全な対応をとっていれば、こんなことには…。大変残念だ。新国立劇場バレエの『マノン』は見る機会が少ないだけに最後まで上演してほしかった。特に米沢唯と井澤駿…
今月は青年団の『東京ノート』が国内では8年ぶりに再演され、究極の〝多言語同時多発演劇〟という『東京ノート・インターナショナルバージョン』(7カ国版)も上演される。マクミラン振付のバレエ『マノン』を新国立劇場が再演するのも8年ぶり。シルヴィ・…
2019年もあとわずか。この一年間、オペラ、バレエ(ダンス)、演劇にクラシックコンサートを含めた劇場文化(芸術)をフィールドワークしてきたが、公演数は117。例年と大差ない。ただ、バレエが少し減り演劇が増えている。ここで簡単に一年を振り返りたい。…
遅ればせながら、終了した公演も含めた今年最後のフィールドワーク予定を記す。 1日(日)14:00 中村恩恵×新国立劇場バレエ団『ベートーヴェン・ソナタ』振付:中村恩恵/音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン/照明:足立 恒/美術:瀬山葉子/衣裳…
今月は新国立劇場 三部門の上演作に注目している。オペラではドニゼッティの《ドン・パスクワーレ》が新制作され、劇場初演となる。演劇部門の『あの出来事』(2013年初演)は、極右青年がノルウェーで起こした銃乱射テロ事件を扱った作品で、登場人物は2人…
音楽では、新国立の新制作オペラ《オネーギン》、上岡=新日本フィルの〝モツレク〟音楽監督 佐藤俊介の率いるオランダ・バッハ協会の公演が並ぶ。/演劇では、野田秀樹の新作『Q』と、数十年ぶりに見る『どん底』がある。前者はたまたまフライヤーを見たの…
スウェーデン王立劇場の来日公演でベルイマンが『ハムレット』『サド公爵夫人』を演出したのは昭和が終わる頃だったか(東京グローブ座)。どちらも印象深いが、とりわけ後者はミリ単位の演出に舌を巻いた。その彼が書いたドラマとあれば、見ないという選択…
8月はバレエのガラ公演が二つとオペラ《フィデリオ》 がコンサート形式で上演される。吉田都は来年9月から新国立劇場の舞踊芸術監督に就任するが、『Last Dance』で現役ダンサーを引退する。古巣の英国ロイヤルバレエ団や、やがて自身が指導する新国立のダ…
平田オリザの新作は日韓仏の共同公演だ。他に旧作のフランス語版等も見ることができる。大野和士が発案した〈オペラ夏の祭典 2019-20〉は「新国立劇場と東京文化会館が2020年に向けて」びわ湖ホールや札幌文化芸術劇場 hitaruなど「各地の劇場と連携して2年…
すでに終わった二つの公演も記す(両者とも大変よい公演だった)。今年のコンポージアムはフィリップ・マヌリが審査員。新国立劇場バレエでは『アラジン』が再演される。振付のビントリーは来日するのだろうか。同じく新国立劇場のオペラ研修所が試演会で《…
昨年スタートした「こまばアゴラ演出家コンクール」はたいへん刺激的でめっぽう面白かった(一次審査・二次審査)。じつはこれを見るために劇場の支援会員になったといってもよいくらいだ。今年は「利賀演劇人コンクール」と連動し、一部内容をリニューアル…
四月の公演数は仕事上さすがに控えめ。春祭の《さまよえるオランダ人》に出演するターフェルを聴くのは久し振り。新国立の『かもめ』は全キャストオーディションでの公演だ。小川絵梨子監督の果敢な挑戦のひとつだが、オリジナルでなくストッパード版の使用…
1980年にパルコ劇場で見た三島由紀夫の『熱帯樹』は、演出 串田和美、美術 横尾忠則、出演 岸田今日子、藤真利子、加藤治子等々の顔ぶれで、いま思えば夢のような舞台だった。先般、世田谷パブリックシアターの会報誌『SePT倶楽部』で本作を小川絵梨子が演出…
今月は平田オリザの中短篇を集中して観ることができる。お馴染みの舞台もあれば、初見の作品もある。とても楽しみ。新国立劇場の新作オペラ《紫苑物語》がいよいよ初日を迎える。石川淳の中篇小説から西村朗はどんな音楽を創り出したのか。笈田ヨシの演出を…
はてなダイアリーは1月28日に記事の更新を停止し、2月28日には全機能を停止するとの知らせが届いた。今日いささか慌ててはてなブログへの移行を実施。なんとか引越が完了した。ただし、下書欄に書き残した膨大なメモは移行できない。さて、どうするか。頭が…
今年もあとわずかで終わる。その前に大急ぎで一年を振り返ろう。まず想起するのは新国立のオペラ《フィデリオ》(5月)だ。ドールハウスのような舞台セットが上下するなか、「レオノーレ」序曲第3番を合図にあっと驚く展開へ突入する。予定調和を排したカタ…
新国立劇場のオペラと演劇は今秋から新たな芸術監督によるシーズンを開始した。前者は《魔笛》、後者は『誤解』と『誰もいない国』の二作のみだが、いずれもキャスティングに疑問符が付き、いまのところ期待外れといわざるをえない。両部門ともさらなる作品…
11月はさすがに公演が多い。新国立劇場バレエは新制作『不思議の国のアリス』で遅まきながら事実上のシーズン開幕。本作は2011年に英国ロイヤルバレエで初演され、2013年には日本への引越公演もあったらしい(未見)。今回はオーストラリア・バレエとの共同…
新国立劇場の2018/2019シーズンが開幕する。オペラと演劇の二部門では新しい芸術監督が就任した。大野和士が率いるオペラは新制作の《魔笛》から(これを機に新シーズンからプルミエ会員に復帰した)。演劇部門の小川絵梨子はカミュの『誤解』を選んだ。両者…
この夏は「共感」についてあれこれ読みながら再考している。その際、演劇論プロパーよりエドマンド・バークやアダム・スミスの著作の方がやはり面白い。彼らの省察から劇場文化に資する知恵を引き出せないか等々。8月のフィールドワークは少なめだったが、9…
猛暑の日が続いている。このなかで舞台を見に行くのは大変だが、演じる(歌う/踊る)側はどんなだろう。本当に頭が下がる。8月は一週間帰省することもあり、公演は少なめ。したための『文字移植』は演出家コンクールでよいと思った和田ながら氏の演出舞台。…
アップが遅くなった。すでに終了した公演は感想メモも付す。 1日(日)14:00 新国立劇場オペラ《トスカ》指揮:ロレンツォ・ヴィオッティ/演出:アントネッロ・マダウ=ディアツ/美術:川口直次/衣裳:ピエール・ルチアーノ・カヴァッロッティ/照明:奥…
カタリーナ・ヴァーグナー演出の《フィデリオ》は刺激的だった。初日に演出家めがけてブーイングとブラボーが飛び交ったのは新国立劇場では久し振り。ブーが「待ってました」と気持ちよさそうに聞こえたのは気のせいか。近年この劇場(特にオペラ)の客層は…
4月からこまばアゴラ劇場の支援会員になった。年会費3万円で劇場の主催・提携公演すべてを何度でも見ることができる(予約は必要)。アゴラ劇場での作品が多いのはそのため。だが、入会した一番の理由は、今年から新たに開催の『演出家コンクール』にあった…