8月のフィールドワーク予定 2023【追記】

8月はダンス1作と演劇1作のみ。このところ体調が万全でない日が続いたから、ゆっくり休みたい。

暮れに、米沢唯がモームの短篇「雨」(1921)に基づいたダンスを踊ると聞き、たしか新潮文庫の短編集が本棚にあったはずだと探したが、ない。カビでも生えて捨てたのか。代わりにペンギンブックス版の短編集が見つかり正月に読んでみた。へーこの場末感満載の娼婦役を踊るのか。ちょっと驚いた。たしかに米沢は『ホフマン物語』の高級娼婦ジュリエッタや、いわゆる娼婦ではないが『マノン』のタイトルロールを見事に演じ踊っている。だが、「雨」のミス・トムソン(モームはイギリス人だからそう発音しただろうが彼女はアメリカ人の設定だから本来トムプソンだと思う)はそれらとはまったくタイプが違う。米沢がどんなミス・トムソン(トムプソン)を造形するのか、見守りたい。【追記:本作は降りしきる雨の効果もさることながら、謹厳で狂信的ともいえる宣教師デイヴィッドソンが重要になりそう。愛知の初演では吉崎裕哉が踊ったらしいけど、今月の再演では中川賢に変わっている。鈴木竜はどんな舞台を創ったのか。興味津々。】

岡田利規の『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』。タイトルからは、以前見た『現在地』(2013)で壁に映し出された青空に浮かぶ雲や月や惑星等の映像が浮かぶ。in-bwtween も暗示的だが、チェルフィッチュのHPには次の言葉がある。

「日本語を母語としない俳優との創作がひらく「演劇と言語」の未来/いくつものリアリティが交差する、まだ見ぬSF演劇」

「演劇は、俳優の属性と役柄が一致せずとも成立するものです。それにも関わらず、日本語が母語ではない俳優はその発音や文法が「正しくない」という理由で、本人の演劇的な能力とは異なる部分で評価をされがちである、という現状があります。…」

たしかにそうだ。

「…ドイツの劇場の創作現場で、非ネイティブの俳優が言語の流暢さではなく本質的な演技力に対して評価されるのを目の当たりにした岡田は、一般的に正しいとされる日本語が優位にある日本語演劇のありようを疑い、日本語の可能性を開くべく、日本語を母語としない俳優との協働を構想しました。…」

既成のあり方をつねに疑い、刷新しようとする岡田利規

今週末は楽しみでしかない。

【行った方がいいよと何度も勧められ「バレエ・アステラス」のチケットを取った。見るのは19年以来か。これで今月はダンス1と演劇1とバレエ1に。】

4日(金)19:00 愛知県芸術劇場×DaBYダンスプロジェクト『Rain』演出・振付:鈴木 竜/美術:大巻伸嗣/音楽:evala/出演:米沢 唯(新国立劇場バレエ団)、中川 賢、木ノ内乃々、Geoffroy Poplawski、土本花、戸田祈、畠中真濃、山田怜央/プロデュース:唐津絵理(愛知県芸術劇場/Dance Base Yokohama)、勝見博光(Dance Base Yokohama)/プロダクションマネージャー:世古口善徳(愛知県芸術劇場)/照明ディレクター&デザイン:髙田政義(RYU)/照明オペレーター&デザイン:上田剛(RYU)/音響:久保二朗(ACOUSTICFIELD)/舞台監督:守山真利恵、川上大二郎/舞台監督助手:峯健(愛知県芸術劇場)/舞台:(株)ステージワークURAK/衣裳:渡辺慎也/リサーチ・構成:丹羽青人(Dance Base Yokohama)/振付アシスタント:堀川七菜(DaBYレジデンスダンサー)/制作:宮久保真紀、田中希、神村結花(Dance Base Yokohama)/企画・共同製作:Dance Base Yokohama、愛知県芸術劇場 @新国立小劇場→感想メモはここ

【5日(土)18:00 チェルフィッチュ『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』作・演出:岡田利規/出演:安藤真理、徐秋成、ティナ・ロズネル、ネス・ロケ、ロバート・ツェツシェ、米川幸リオン/舞台美術:佐々木文美/音響:中原楽(LUFTZUG)/サウンドデザイナー:佐藤公俊/照明:吉本有輝子/衣裳:藤谷香子/舞台監督:川上大二郎(スケラボ)/舞台監督アシスタント:山田朋佳/演出助手:山本ジャスティン伊等(Dr. Holiday Laboratory)/英語翻訳:オガワアヤ/宣伝美術:牧寿次郎/アートワーク:平山昌尚/プロデューサー:黄木多美子(precog)、水野恵美(precog)/プロジェクトマネージャー:遠藤七海/プロジェクトアシスタント:村上瑛真(precog)/製作:一般社団法人チェルフィッチュ/共同製作:KYOTO EXPERIMENT/主催:一般社団法人チェルフィッチュ/企画制作:株式会社precog/提携:公益財団法人武蔵野文化生涯学習事業団/助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(創造団体支援)) |独立行政法人日本芸術文化振興会吉祥寺シアター

【6日(日)14:00 「バレエ・アステラス 2023~海外で活躍する日本人バレエダンサーを迎えて世界とつなぐ~」指揮:デヴィッド・ガルフォース[ガーフォースだと思うけど]/管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団/照明プラン:喜多村 貴(劇光社)[ゲスト出演]石原古都 (カナダ国立バレエ プリンシパル[体調不良のため降板 8/4]ジェシカ・シュアン (オランダ国立バレエ プリンシパル)&吉山シャール ルイ (チューリヒ・バレエ プリンシパル『In Our Wishes』日本初演/振付:キャシー・マーストン/音楽:セルゲイ・ラフマニノフ/ピアノ演奏:中野翔太→『アルルの女』よりラストソロ(ファランドール/振付:ローラン・プティ/音楽:ジョルジュ・ビゼー出演:吉山シャール ルイ +『眠れる森の美女』第3幕よりパ・ド・ドゥ/振付:マリウス・プティパ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー[海外で活躍する日本人ダンサー&パートナー](女性名五十音順)五十嵐愛梨 (アトランタ・バレエ)&セルジオ・マセロ (アトランタ・バレエ)『Love Fear Loss』よりLossのパ・ド・ドゥ 日本初演/振付:リカルド・アマランテ/音楽:エディット・ピアフ/ピアノ演奏:中野翔太//刈谷円香 (ネザーランド・ダンス・シアター1)&パクストン・リケッツ (ネザーランド・ダンス・シアター1)『SOON』日本初演/振付:メディ・ワレルスキー/音楽:ベンジャミン・クレメンタイン//栗原ゆう (英国バーミンガム・ロイヤルバレエ ファースト・ソリスト)&マイルス・ギリバー (英国バーミンガム・ロイヤルバレエ アーティスト)『ドン・キホーテ』第3幕よりパ・ド・ドゥ/振付:カルロス・アコスタ/音楽:レオン・ミンクス//後藤絢美 (アメリカン・バレエ・シアター スタジオカンパニー)&三宅啄未 (アメリカン・バレエ・シアター スタジオカンパニー)『サタネラ』よりパ・ド・ドゥ/振付:マリウス・プティパ/音楽:チェーザレ・プーニ//ジェシカ・シュアン (オランダ国立バレエ プリンシパル)&山田 翔 (オランダ国立バレエ ソリスト)『コッペリア』よりパ・ド・ドゥ/振付:マリウス・プティパ/音楽:レオ・ドリーブ//水谷実喜 (英国バーミンガム・ロイヤルバレエ プリンシパル)&ロックラン・モナハン (英国バーミンガム・ロイヤルバレエ プリンシパル)『Shakespeare Suite』よりロメオとジュリエット 日本初演/振付:デヴィッド・ビントレー/音楽:デューク・エリントン//吉田合々香 (クイーンズランド・バレエ プリンシパル)&ジョール・ウォールナー (クイーンズランド・バレエ プリンシパル)『夏の夜の夢』よりファイナル・パ・ド・ドゥ/振付:リアム・スカーレット/音楽:フェリックス・メンデルスゾーン新国立劇場バレエ団]木村優里 (プリンシパル)&中家正博 (ソリスト)『ジゼル』 第2幕よりパ・ド・ドゥ/振付:ジャン・コラリ&ジュール・ペロー&マリウス・プティパ/音楽:アドルフ・アダン//ミラノ・スカラ座バレエ・アカデミー『Largo』より/振付:マッテオ・レヴァッジ/音楽:ヨハン・ゼバスティアン・バッハ/チェロ演奏:上村文乃 +『La fille mal gardée』よりパ・ド・ドゥ/振付:フレデリック・オリヴィエリ/音楽:ルートヴィヒ・ヘルテル//新国立劇場バレエ研修所 第19期・20期生、予科生 ほか『シンフォニエッタ/振付:牧 阿佐美/音楽:シャルル・グノー//[作品ゲスト]京當侑一籠(牧阿佐美バレヱ団)//[バレエ・アステラス委員](五十音順)安達悦子(東京シティ・バレエ団理事長/芸術監督)岡本佳津子(井上バレエ団代表理事)小倉佐知子(新国立劇場バレエ研修所長)小山久美(スターダンサーズ・バレエ団代表/総監督)小林紀子小林紀子バレエ・シアター芸術監督)法村牧緒(法村友井バレエ団団長)堀内 充(大阪芸術大学教授)三谷恭三(牧阿佐美バレヱ団総監督)@新国立劇場オペラハウス】→感想メモはここ