「バレエ・アステラス 2023~海外で活躍する日本人バレエダンサーを迎えて世界とつなぐ~」の2日目を見た(6日 日曜 14:00/新国立劇場オペラハウス)。広島に原子爆弾が投下された日。
当初そのつもりはなかったが、見た方がいいよと何度も勧められ、数日前に2F左バルコニーを取った。アステラスは2019年振りだと思う。
指揮:デヴィッド・ガルフォース[ガーフォースだと思うけど]/管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団/照明プラン:喜多村 貴(劇光社)
バレエ・アステラス委員:(五十音順)安達悦子(東京シティ・バレエ団理事長/芸術監督)岡本佳津子(井上バレエ団代表理事)小倉佐知子(新国立劇場バレエ研修所長)小山久美(スターダンサーズ・バレエ団代表/総監督)小林紀子(小林紀子バレエ・シアター芸術監督)法村牧緒(法村友井バレエ団団長)堀内 充(大阪芸術大学教授)三谷恭三(牧阿佐美バレヱ団総監督)
総じてこれまでより質が高くなった印象。以下ごく簡単にメモする。
第1部
『シンフォニエッタ』/振付:牧 阿佐美/音楽:シャルル・グノー
例のバランシン風の作品。
『Love Fear Loss』よりLossのパ・ド・ドゥ 日本初演/振付:リカルド・アマランテ/音楽:エディット・ピアフ
柔らかな踊りだが、次第に熱がこもってきて…。気品のある二人。ピアノは少し勢い余ったが、なかなかのもの。
『サタネラ』よりパ・ド・ドゥ/振付:マリウス・プティパ/音楽:チェーザレ・プーニ
出演:後藤絢美(アメリカン・バレエ・シアター スタジオカンパニー)&三宅啄未 (アメリカン・バレエ・シアター スタジオカンパニー)
三宅は技術が高いのにこれ見よがしでない。強度を上げると凄味がでる。好いダンサー。後藤もいいと思う。
『夏の夜の夢』よりファイナル・パ・ド・ドゥ/振付:リアム・スカーレット/音楽:フェリックス・メンデルスゾーン
出演:吉田合々香(クイーンズランド・バレエ プリンシパル)&ジョール・ウォールナー(クイーンズランド・バレエ プリンシパル)
ホルンの響きが聞こえただけでグッときた。素晴らしい演奏。ダンサー二人も登場しただけで妖精の王&女王の風格を感じさせる佇まい。気品のある音楽に見合う踊りだった。
ヴィオラのソロ。バランスを多用した振付。二人とも人の好さを感じさせる踊り。
『アルルの女』よりラストソロ(ファランドール)[ゲスト出演の石山古都(カナダ国立バレエ プリンシパル)が体調不良で降板のため当初の『In Our Wishes』振付:キャシー・マーストンから変更]/振付:ローラン・プティ/音楽:ジョルジュ・ビゼー
吉山のパトスは、最後に窓外へ身を投げるまで強烈だった。カーテコールも。
『ジゼル』 第2幕よりパ・ド・ドゥ/振付:ジャン・コラリ&ジュール・ペロー&マリウス・プティパ/音楽:アドルフ・アダン
木村はもっと浮遊感が欲しい気もした。少し太ったか。中家はきっちり踊ったが、音楽のテンポが速かった印象も。
第2部
『Largo』より/振付:マッテオ・レヴァッジ/音楽:ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
出演:ミラノ・スカラ座バレエ・アカデミー/チェロ演奏:上村文乃
なるほどフォーサイスっぽい踊りだが、よりストレートであっさりめ。若手のダンサーらは悪くない。チェロの上村はBCJではピリオド楽器だが、この日はモダンだったか。唸り声を含め好かった。
『La fille mal gardée』よりパ・ド・ドゥ/振付:フレデリック・オリヴィエリ/音楽:ルートヴィヒ・ヘルテル
出演:ミラノ・スカラ座バレエ・アカデミー
まだ体をコントロールできてないけど、演目に見合った大らかさはなんか微笑ましい。こういう育て方でいいのかも。
『ドン・キホーテ』第3幕よりパ・ド・ドゥ/振付:カルロス・アコスタ/音楽:レオン・ミンクス
出演:栗原ゆう (英国バーミンガム・ロイヤルバレエ ファースト・ソリスト)&マイルス・ギリバー (英国バーミンガム・ロイヤルバレエ アーティスト)
男性のサポートがちょっと…。基本が出来ていないように見える。栗原が少し気の毒(以前のアステラスではよく見たシーン)。
『SOON』日本初演/振付:メディ・ワレルスキー/音楽:ベンジャミン・クレメンタイン
出演:刈谷円香 (ネザーランド・ダンス・シアター1)&パクストン・リケッツ (ネザーランド・ダンス・シアター1)
青のパンツを穿き、素肌に青のジャケットを羽織った男女。照明。作品名も分からず見たが、なんか好かった。
『Shakespeare Suite』よりロメオとジュリエット 日本初演/振付:デヴィッド・ビントレー/音楽:デューク・エリントン
出演:水谷実喜 (英国バーミンガム・ロイヤルバレエ プリンシパル)&ロックラン・モナハン (英国バーミンガム・ロイヤルバレエ プリンシパル)
これも何か分からず見たのだが、ロミオとジュリエットには見えず(知ったうえで見たら違ったか)。
『眠れる森の美女』第3幕よりパ・ド・ドゥ/振付:マリウス・プティパ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ゲスト出演:
石山古都(カナダ国立バレエ プリンシパル)[体調不良で降板]→ジェシカ・シュアン (オランダ国立バレエ プリンシパル)&吉山シャール ルイ(チューリヒ・バレエ プリンシパル)
シュアンは独特の雰囲気を持ったダンサー。技術も確かで、気品があり、ゆったり(まったり)したあり方は、吉山と合っていた。とてもよいパ・ド・ドゥ。
フィナーレ 『エウゲニ・オネーギン』よりポロネーズ
出演者全員
久し振りに見て、楽しかった。何より、ガーフォース+東フィルの音楽が素晴らしい。ガーフォースが振ると音楽から気品が滲み出る。不思議。