英国ロイヤル・バレエ団『ロミオとジュリエット』オシポワ2023 rev.

英国ロイヤル・バレエ団『ロミオとジュリエット』のオシポワの回を見た(6月30日 金曜 18:30/東京文化会館)。

以下のメモは、7/7のツイートを少し修正したもの。

バレエを見始めたのは99年4月 英国ロイヤル・バレエ団『マノン』(NHKホール)のシルヴィ・ギエムがきっかけ(デ・グリュー:J. コープ レスコー:I. ムハメドフ)。05年は『マノン』全4キャストを一階で(東京文化/バッセル&ボッレ,コジョカル&コボー,ギエム&ムッル,ロホ&コープ→テューズリー)。08年は『シルヴィア』のみ。10年は『うたかたの恋』『リーズの結婚』『ロミ&ジュリ』。13年はロイヤルガラのみで『アリス』は見ず。16年は『ジゼル』2キャスト(ヌニェス&ムンタギロフ,オシポワ&ゴールディング)。19年はついにゼロ。【世界バレエフェス&オペラ・バレエの引越公演に関するメモはこちら

そして今回は『ロミオとジュリエット』のオシポワだけ。他に見たいダンサーはほぼいなくなった。見たのはD席の4階左バルコニー。それでも12,000円。

オシポワはさすがにプライムは過ぎたけど面白い。きぬぎぬ後のパトスには目を見張った。マントや薬をめぐる取り憑かれたような動き、薬の飲み方も一気! 自分の身体でジュリエットを生きる。当たり前だがさすが。

ロミオ役のクラークは手脚が長く、大きな踊り。ただ少し荒削りか。

団員はみなmotivation高い。端役の隅々まで役を生きている。ただキャピュレット夫人は本島美和の残像が強い。今公演では、見慣れない動きが散見された。例えば、ロレンス庵室の秘密結婚後、街頭シーンは暗い照明でカミテからペアで列をなし中央へ。そこにシモテから物乞いが一人逆方向から鉢合わせ…照明が明るくなり…こんな演出だったか? マキューシオ刺殺の場は、二人の男の背後からティボルトの剣が背中に刺さる。アクシデント? ティボルトは本意でなかった? 原作&マクミラン演出と異なるがOKなのか? 刺された後のマキューシオは剣をギター代わりに弾く仕草がなかった or あれでやってるつもり?

最も好印象なのは東京シティ・フィル の透明度の高い演奏。指揮のクーン・ケッセルズは大枠を押さえ、各声部をバランスよく鳴らし、要所の迫力も申し分ない。

全曲版『ロミ&ジュリ』はともすると重くてしつこくなりがち。キーロフの初演リハでダンサーが舞台で音楽が聞こえないと訴え、プロコフィエフ不本意にも音を加えた為らしい(M.A.ヤクーボフ/森田稔訳)。もしかしたら、英国ロイヤル・バレエ団のスコアは、本来のオーケストレーションが残る組曲版を部分的に採り入れているのかもしれない。