1月のフィールドワーク予定 2024【再追加】【改訂】【+感想メモ】

新年初めの月は4公演と少なめだが、楽しみなものばかり。大好きな『魔笛』の音楽に笠井叡がどんな振付・演出をするのか。あの沢口靖子主演の舞台と聞くだけで興味津々だが(なぜか科捜研モノなど必ず見てしまうのは坂口に限りなくgoodnessを感じるせいかも)そこに生瀬勝久や亀田佳明も出演するという。劇場も近いし見ない選択肢はない。N響定期ではソフィエフ指揮で首席ヴィオラ奏者の村上とゲストコンマスの郷古が共演する(昨年1月のソフィエフ+N響は入院と重なり断念)。ベルトマン演出の新国立オペラ《オネーギン》はスタニスラフスキーの息吹が感じられた舞台(2019)。再演ではどんな印象を受けるか楽しみだ。ショパンピリオドコンクールの勝者がコンチェルト1番と2番で鈴木優人指揮するBCJと共演し、1843年製のプレイエル弾く。生で聞くとどんな響きがするのか。

【27日は《オネーギン》終了予定の17時過ぎに初台から原宿へ直行し「NHKバレエの饗宴」を見ることに。冒頭の演目は間に合いそうにないがやむをえない。】

【「バレエの饗宴」の上演順は下記の通り。米沢・速水の『ドン・キ』がトリに。】

8日(月 祝)15:00 ポスト舞踏派 ダンス公演『魔笛』振付・演出・構成:笠井 叡/出演:森山未來、辻󠄀本知彦、菅原小春、島地保武、大植真太郎、笠井 叡/主催:一般社団法人天使館/提携:KAAT 神奈川芸術劇場/助成:文化庁文化芸術振興費補助金舞台芸術等総合支援事業(創造団体支援))独立行政法人日本芸術文化振興会神奈川芸術劇場 KAAT ホール

↑楽しめた。番傘に下駄で客席から登場。例の「白浪五人男」風。冒頭、オペラの幕切れ音楽で笠井がエネルギッシュに踊ると一気に体と頬が緩む。笠井が喋り、ダンサーがペアでソロを踊るが、なんと音楽はオペラの終曲から“逆打ち”に進む。面白い。砂漠にピラミッドはエジプト神イシスとオシリス神殿のイメージかと思いきや、そこへ爆弾が垂直に降ってくる。東京大空襲ウクライナ侵攻? 否イスラエルのガサ攻撃はエジプトと地続きだ。ダンサーは最後に役の衣裳を着ると序曲が流れ大団円へ。お約束の宙吊りで〝こんな地球なんか〟とオサラバする笠井、5人の名乗り、金銀吹雪。笠井の精一杯の抵抗だろう。

笠井の元気すぎる(?)踊りと5人の個性的な踊りが見られたし、実に楽しい時間だった。“逆打ち”にしたのは、いま「人間が神になる」(笠井の『魔笛』解釈)どころか逆行している世界への痛烈な批判かもしれない。大好きなパミーナとパパゲーノのデュエット(7番)がなかったのは残念。1/9のツイートを少し修正

17日(水)18:00 二兎社公演 47『パートタイマー・秋子』作・演出:永井 愛/出演:沢口靖子 生瀬勝久 亀田佳明 土井ケイト 吉田ウーロン太 関谷美香子 稲村 梓 小川ゲン 田中 亨 石森美咲 水野あや 石井愃一/美術:大田 創/照明:中川隆一/音響:市来邦比古/衣裳:竹原典子/舞台監督:澁谷壽久/主催:二兎社/共催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場 @芸劇シアターウェスト

24日(水)19:00 N響 # 2003 定演〈B-1〉モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調ベートーヴェン交響曲 第3番 変ホ長調「英雄」/指揮:トゥガン・ソヒエフ/ヴァイオリン郷古廉(N響ゲスト・コンサートマスターヴィオラ村上淳一郎(N響首席奏者)サントリーホール

コンマストゥールーズ・キャピトル劇場管弦楽団コンミス藤江扶紀が客演。ソヒエフがロシアのウクライナ侵攻前まで音楽監督だったオケだ。《モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調》は、郷古廉と(特に)村上淳一郎が互いに聴き合う楽しい演奏。物悲しいアンダンテは後半「英雄」のアダージョと同じハ短調か(堀朋平/Program Note)。なるほど。郷古の明澄、村上の滋味。互いに&ソヒエフとハグ。

アンコールは《モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラの為の協奏曲》から3楽章「主題と変奏」。二者が掛け合いながら主題を変奏していく息の合った好演。再度ふたりのハグ。なんか好い。《ベートーヴェン交響曲 第3番 変ホ長調「英雄」》は、指揮者が手綱を引く馬車に同乗し、どんどん進んでいく感じ。ウクライナやガザの悲惨な現状下、ソヒエフはこのスコアからどんな英雄像を読み取っているのか。強音でも叩きつけず、熱はあるがファナティックではない。塩梅がいいと言うか、どこまでも心地いい。ブレヒトガリレイの生涯』(1938/43)の台詞が浮かんだ——「英雄のいない国は不幸だ」「違う、英雄を必要とする国が不幸なのだ」。葬送のアダージョは厳かで吉村結実のオーボエは心に沁みるけど、次第に明るくひらけていく展開に、慟哭から転じる反動は感じられない。

スケルツォは森の中で種々の生命が蠢き、トリオの野性味あるホルン三重奏は、たしかに「狩に出る英雄のイメージ」(堀/同前)を髣髴させる。《ヴァーグナージークフリート》の禍々しさは皆無だが。フィナーレの変奏はどこか物語的。勇壮ではあるが楽しさに溢れてる。〝素材〟のよさを活かすソヒエフに、すっかり魅せられた。1/26 のツイートを若干修正

27日(土)14:00 新国立劇場オペラ 《エウゲニ・オネーギン》全3幕〈ロシア語上演/日本語及び英語字幕付〉作曲&台本:ピョートル・チャイコフスキー(原作:プーシキンの同名韻文小説)/指揮:ヴァレンティン・ウリューピン/演出:ドミトリー・ベルトマン/美術:イゴール・ネジニー/衣裳:タチアーナ・トゥルビエワ/照明:デニス・エニュコフ/振付:エドワルド・スミルノフ/舞台監督:髙橋尚史/タチヤーナ:エカテリーナ・シウリーナ/オネーギン:ユーリ・ユルチュク/レンスキー:ヴィクトル・アンティペンコ/オリガ:アンナ・ゴリャチョーワ/グレーミン公爵:アレクサンドル・ツィムバリュク/ラーリナ:郷家暁子/フィリッピエヴナ:橋爪ゆか/ザレツキー:ヴィタリ・ユシュマノフ/トリケ:升島唯博/隊長:成田 眞 ほか/合唱指揮:冨平恭平/合唱:新国立劇場合唱団/管弦楽:東京交響楽団新国立劇場オペラハウス

【27日(土)17:30 NHKバレエの饗宴 2024[上演順]〈第1部〉東京シティ・バレエ団:『Lheure bleue』(ルール・ブルー)/振付:イリ・ブベニチェク/音楽:バッハ、モーツァルト、ボッケリーニ/出演:岡博美,平田沙織,植田穂乃香,折原由奈,石塚あずさ,吉留諒,沖田貴士,福田建太,岡田晃明,林高弘/20分休憩//〈第2部〉永久メイ&フィリップ・スチョーピン:『眠りの森の美女』からグラン・パ・ド・ドゥ/振付:コンスタンチン・セルゲーエフ(プティパ版に基づく)/音楽:チャイコフスキー/出演:永久メイ(マリインスキー・バレエファーストソリスト),フィリップ・スチョーピン(マリインスキー・バレエファーストソリスト)//金子扶生&ワディム・ムンタギロフ:『くるみ割り人形』からグラン・パ・ド・ドゥ/振付:ピーター・ライト(イワノフ版に基づく)/音楽:チャイコフスキー/出演:金子扶生(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル),ワディム・ムンタギロフ(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)//舞台転換//中村祥子&小尻健太:『幻灯』(改訂版)/振付:小尻健太/音楽:リヒタ(録音音源使用)/出演:中村祥子(Kバレエカンパニー名誉プリンシパル),小尻健太(「尻」は中が「九」ではなく「丸」)//〈第3部〉新国立劇場バレエ団:『ドン・キホーテ』第3幕/振付:マリウス・プティパ&アレクサンドル・ゴルスキー/改訂振付:アレクセイ・ファジェーチェフ/音楽:ミンクス/出演:米沢唯、速水渉悟 ほか//指揮:井田勝大/管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団NHKホール】←追加

30日(火)19:00 第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝者コンサートモーツァルト:《フィガロの結婚》序曲 K. 492/ショパンピアノ協奏曲第2番短調 Op. 21/ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op. 11/*ピアノ:エリック・グオ(第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝者)/指揮:鈴木優人/管弦楽バッハ・コレギウム・ジャパン/*使用楽器:プレイエル(1843年7月18日完成 10月9日エピネイ子爵が購入/マホガニーケース/製造番号 No.10456/長さ205cm/タカギクラヴィア所有/2018年度ショパン国際ピリオド楽器コンクール認定楽器)/主催:ジャパン・アーツ/共催:公益財団法人 東京オペラシティ文化財団/後援:ポーランド文化・国家遺産省、アダム・ミツキェヴィチ・インスティチュート、駐日ポーランド共和国大使館、ポーランド国立フレデリック・ショパン研究所(NIFC)、ポーランド広報文化センター/協力:タカギクラヴィア @東京オペラシティ コンサートホール

【31日(水)「みちのく いとしい仏たち」展東京ステーションギャラリー小津安二郎紹介展示コーナー特別展 築山秀夫コレクション「小津安二郎と深川」古石場文化センター】←再追加