11月のフィールドワーク予定 2024【追加】【+感想メモ】

田中一村展」の前期展示は10/4に2時間かけて見た(感想メモは10月予定に追記)。その後、未読だった大矢鞘音の評伝等を読み、一部入替後の後期展示(10/25〜)を1日に見てきた。

新国立の『眠り』は初日・二日目とは別キャストを見る(見た)。当初は全キャスト見るはずが、小野絢子の10/26日(土)降板で果たせず。佐々晴香のオーロラは別格だった。(健康上の理由から今回は)リラの精を踊った米沢唯は〝この世〟とは別のオーラで終始ゆったり動き(特にマイム)、森の場面では〝別の世界〟から佐々オーロラと井澤デジレを仲介し見守っているように見えた。もちろんリラの役柄はそれでいいのだが、なんとも言えない感慨を覚えた(初日)。が、2日マチネ、3日ソワレでは〝この世〟に戻ったオーラを放ち、安堵。『眠り』の感想は、追ってメモしたい。

初台『眠れる森の美女』でリラの精をサポートするカヴァリエ中家正博は素晴らしかった。米沢、内田と相手が変わっても変わらない。少し畏まって待ち構え微笑みつつ手を差し出し、サポートする様は〝神聖〟で〝正しい〟リラの精の属性を照らし、その輝きを強めた。身を清めて臨んだのかと思わせるほど。

他方、残念ながら、初日出演の別のダンサーは、見る度に違和感が拭えなかった。初日後の舞台でも「なぜ?」と何度も自問したが、キャスティングの意図は理解できず。(11/13ツイート)

『テーバイ』は2年半前「コツコツプロジェクト 第二期」3rd試演会(2022年2月)で見た。面白かった。今回はその本公演だが、どのように〝育った〟か確かめたい。

チャペックの『ロボット』は7年まえダブリンのアベイ(アビー)シアターで青少年劇場の上演に遭遇したが、日本で見るのはこのノゾエ征爾 潤色・演出版が初めてとなる。

ロッシーニの《ウィリアム・テル》は初日を仕事の都合で2日目に変えた。とても楽しみな演目だ。

今年の北とぴあフェスのオペラ演目は《皇帝ティートの慈悲》。モーツァルト晩年の本作は二期会コンヴィチュニー演出上演(2006年/新国立劇場オペラハウス)以来、見ていない。

【船岩祐太の『テーバイ』が抜群に好かったから、千穐楽でリピートすることにした。】

1日(金)田中一村奄美の光 魂の絵画」主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館、鹿児島県奄美パーク 田中一村記念美術館、NHKNHKプロモーション、日本経済新聞社/協賛:DNP大日本印刷、日本典礼/特別協力:千葉市美術館/協力:ANAPeach/監修:松尾知子(千葉市美術館 副館長)@東京都美術館

2日(土)14:00 新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』オーロラ姫:柴山沙帆/デジレ王子:福岡雄大/リラの精:米沢 唯/カラボス:山本涼杏/指揮:ギャヴィン・サザーランド/管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団新国立劇場オペラハウス

3日(日)13:00 新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』オーロラ姫:木村優里/デジレ王子:渡邊峻郁/リラの精:内田美聡/カラボス:根岸祐衣/指揮:冨田実里  @新国立劇場オペラハウス

3日(日)18:30 新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』オーロラ姫:池田理沙子/デジレ王子:井澤 駿/リラの精:米沢 唯/カラボス:直塚美穂/指揮:ギャヴィン・サザーランド @新国立劇場オペラハウス

8日(金)18:30 新国立劇場演劇『テーバイ』原作:ソポクレス『オイディプス王』『コロノスのオイディプス』『アンティゴネ/翻訳:高津春繁(『オイディプス王』『コロノスのオイディプス』)、呉 茂一(『アンティゴネ』)による/構成・上演台本・演出:船岩祐太/美術:土岐研一/照明:松本大介/音響:信澤祐介/衣裳:山下和美/ヘアメイク:高村マドカ/アクション:亀山ゆうみ/演出助手:朝倉エリ/舞台監督:野口 毅/[配役]クレオン:植本純米/アンティゴネ加藤理恵オイディプス今井朋彦テセウスほか:久保酎吉/イオカステほか:池田有希子/ハイモンほか:木戸邑弥/テイレシアスほか:高川裕也/ポリュネイケス ほか:藤波瞬平/神官ほか:國松 卓/イスメネ:小山あずさ @新国立小劇場

↑初台『テーバイ』2日目を見た。これほど痺れたのは2月の『兵卒タナカ』以来だ。オイディプス三部作が古典の感触を留めたまま現代に蘇った。古代ギリシアの世界観(神々 神託 運命)を無理なく受容させる船岩祐太翻案・演出は見事。コツコツも見たが特にⅢは更にアップグレードしていた。役者も好い。

Ⅰ「オイディプス王」後 Ⅱ天から吊された三本の赤縄が印象的なコロノスの森でオイディプス(今井朋彦)が昇天、Ⅲ兄を弔ったアンティゴネ加藤理恵)に死罪を宣したクレオン(植本純米)は容赦ない不幸に襲われ…カタルシスならぬ「何か、氷を抱きしめたような、切ない悲しさ、美しさ」(安吾)を感じた。

アンティゴネが発する「自然」の言葉は「神々の掟」の謂としてスッと飲み込めた。

実は船岩演出を14年前に見ていた。18世紀仏のマリヴォー作『二重の不実』(銅鑼アトリエ 2010)+個性的なリハーサルも。演劇の喜びを強く感じる舞台だった。あの時25歳なのか。(11/9 ツイート)

20日(水)19:00 『ロボット』原作:カレル・チャペック「ロボット」(海山社・栗栖茜訳)/潤色・演出:ノゾエ征爾/出演:水田航生 朝夏まなと菅原永二 加治将樹 坂田 聡/山本圭小林きな子 内田健司 柴田鷹雄 根本大介/渡辺いっけい/美術・衣裳:山本貴愛/照明:吉本有輝子/音響:井上正弘/ヘアメイク:西川直子/演出助手:神野真理亜/舞台監督:川除 学 @シアタートラム

22日(金)19:00 N響 #2024定演〈B-2〉チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35/プロコフィエフバレエ音楽《石の花》─「銅山の女王」「結婚組曲」/ストラヴィンスキー:3楽章の交響曲指揮:ディマ・スロボデニューク/ヴァイオリン:ニキータ・ボリソグレブスキーサントリーホール

23日(土祝)14:00 新国立劇場オペラ ジョアキーノ・ロッシーニウィリアム・テル》[新制作]全4幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉令和6年度(第79回)文化庁芸術祭主催公演/指揮:大野和士/演出・美術・衣裳:ヤニス・コッコス/アーティスティック・コラボレーター:アンヌ・ブランカール/照明:ヴィニチオ・ケリ/映像:エリック・デュラント/振付:ナタリー・ヴァン・パリス/舞台監督:髙橋尚史/ギヨーム・テル(ウィリアム・テル):ゲジム・ミシュケタ/アルノルド・メルクタール:ルネ・バルベラ/ヴァルテル・フュルスト:須藤慎吾/メルクタール:田中大揮/ジェミ:安井陽子/ジェスレル:妻屋秀和/ロドルフ:村上敏明/リュオディ:山本康寛/ルートルド:成田博之/マティルド:オルガ・ペレチャッコ/エドヴィージュ:齊藤純子/狩人:佐藤勝司/合唱:新国立劇場合唱団/管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団新国立劇場オペラハウス

【24日(日)13:00 新国立劇場演劇『テーバイ』原作:ソポクレス『オイディプス王』『コロノスのオイディプス』『アンティゴネ』/翻訳:高津春繁(『オイディプス王』『コロノスのオイディプス』)、呉 茂一(『アンティゴネ』)による/構成・上演台本・演出:船岩祐太/美術:土岐研一/照明:松本大介/音響:信澤祐介/衣裳:山下和美/ヘアメイク:高村マドカ/アクション:亀山ゆうみ/演出助手:朝倉エリ/舞台監督:野口 毅/[配役]クレオン:植本純米/アンティゴネ加藤理恵オイディプス今井朋彦テセウスほか:久保酎吉/イオカステほか:池田有希子/ハイモンほか:木戸邑弥/テイレシアスほか:高川裕也/ポリュネイケス ほか:藤波瞬平/神官ほか:國松 卓/イスメネ:小山あずさ @新国立小劇場】←追加

千穐楽を見てさらに評価は上がった。いずれメモしたい。

29日(金)18:00 北とぴあ国際音楽祭2024《皇帝ティートの慈悲》イタリア語上演・日本語字幕/作曲:ヴォルフガング・アマデーウス・モーツァルト/台本・原作:ピエトロ・メタスタージオ/改作:カテリーノ・マッツォーラ/指揮:寺神戸 亮/演出:大山大輔/出演:ルーファス・ミュラー、ロベルタ・マメリ、ガイア・ペトローネ、高橋幸恵、雨笠佳奈、大山大輔/合唱・管弦楽:レ・ボレアード(ピリオド楽器使用)/主催:(公財)北区文化振興財団/共催:東京都北区/助成:公益財団法人 三菱UFJ信託芸術文化財団/公益財団法人 野村財団/後援:東京都北区教育委員会北とぴあ さくらホール

北とぴあ皇帝ティートの慈悲》初日。好かった。本作を見たのは2006年の二期会のみだが、覚えているのはコンヴィチュニー演出の奇抜さだけで話も音楽も記憶にない。今回は物語がよく分かったし、何よりモーツァルトの音楽を堪能した。特にズボン役セストのガイア・ペトローネが素晴らしい。

セストの、ヴィテッリア(マメリ)への愛とティートへの友情/忠誠に引き裂かれた苦悩が、歌と演技からひしひしと伝わってきた。裏切られたティートがセストを問い質すレチタセッコの対話は凄い緊張感で聴き入った。ヴィテッリアのマメリは全盛期でなくても歌・演技共自在で2幕のアリアはさすが。

ベテランのミュラーは慈悲ある皇帝に合う声質。高音はきつめでレチタの歌詞も危ういが、要所のアリアは貫禄を見せた。アンニオ高橋幸恵も好演。

寺神戸亮 率いる古楽オケ、二つのアリアのクラリネット満江菜穂子は聞き応えあり。モーツァルト節+本作に固有の感触も。衛兵役の吉元美里衣と深瀬友梨が見事な立ち姿と動きで舞台を格上げした。演出はプブリオ役の大山大輔。正直、初台のロッシーニより満足度は高かった。

このフェスは29年も続いているのか。きわめてリーゾナブルな価格でこのクオリティ。北区の関係者には頭が下がる。

【追記】レチタ時の通奏低音でチェロ懸田貴嗣の清朗で明るめの響きはベルカントな伊語の歌声によく合っていた(BCJはほぼカンタータや受難曲の独語ゆえに、山本徹のやや重めの音色が馴染むのだろう。かつての鈴木秀実はその中間か)。今回の発見だ。(12/1, 2 ツイート)

30日(土)14:00 新国立劇場バレエ団「Dance to the Future 2024」令和6年度(第79回)文化庁芸術祭主催公演/Choreographic Group 作品集(上演順未定)/アドヴァイザー:小㞍健太/照明:鈴木武人/音響:長谷川友美//『禁じられた遊び』振付:木村優里/音楽:ナルシソ・イエペス/出演:渡邊峻郁 木村優里//『Seul et unique』振付:渡邊峻郁/音楽:ニコロ・パガニーニ/出演:中島瑞生 渡邊拓朗//『光と闇』振付:木下嘉人/音楽:マックス・リヒター 他/出演:小野絢子 木下嘉人//『SHIKI』振付:福田圭吾/音楽:マイケル・ウォール 他/出演:柴山紗帆 森本亮介//『Re』振付:西川 慶/音楽:カール・ジェンキンス/出演:池田理沙子 赤井綾乃 花田美月 山田悠貴 西川 慶//『Afterglow』振付:橋本真央/音楽:ピーター・グレッグソン 他/出演:吉田朱里 花形悠月 大木満里奈 岸谷沙七優 金城帆香 東 真帆//『プレリュード』(招待作品)振付:小㞍健太/音楽:クロード・ドビュッシー/出演:五月女 遥 西 一義 @新国立小劇場