9月のフィールドワーク予定 2023 追記+感想メモ

先月同様、今月も映画1 演劇1 コンサート2 と少なめ。

先月は公演が少ない分、気になっていた本をいろいろ読めた。中沢啓治はだしのゲン』全10巻、吉原真里『親愛なるレニー——レナード・バーンスタインと戦後日本の物語』、平野啓一郎『死刑について』、村田喜代子・木下晋『存在を抱く』等々。

なかでも『はだしのゲン』(1973-1987)は読後感が後を引き、また、いっけん無関係に読んだ別の本とも響き合い、中沢の『はだしのゲン 自伝』(1994)『はだしのゲン わたしの遺書』(2012)黒いシリーズ短編集『黒い雨にうたれて』(1968-1973)等を読み、さらに、複数のヴォランティア(Project Gen)で訳したという英語版全10巻(2004-2009) を入手することに。漫画を読んだのは、やはりヒロシマの原爆体験を扱ったこうの史代の『この世界の片隅に』以来だ。『ゲン』を読みはじめたら、二十数年前に読んだアート・スピーゲルマン『マウス——アウシュヴィッツを生き延びた父親の物語』(1986/91)が頭に浮かんだ。これも20世紀の災厄を描いた漫画作品である。この作者が『ゲン』の英語版序文(1990)を書いたのは偶然とは思えない。スピーゲルマンは『マウス』に着手してほどなく『ゲン』を読んだという。おそらく1978年の最初の英語版だろう(翻訳は年月を経ながら進化を遂げたらしい)。『ゲン』についてはまた改めてメモしたい。

4日(月)17:10 映画『福田村事件』監督:森 達也/脚本:佐伯俊道、井上淳一荒井晴彦/企画:荒井晴彦/統括プロデュ―サー:小林三四郎/プロデュ―サー:井上淳一 片嶋一貴/企画協力:辻野弥生、中川五郎、若林正浩/アソシエイトプロデュ―サー:内山太郎、比嘉世津子/撮影:桑原 正/照明:豊見山明長/録音:臼井 勝/美術:須坂文昭/装飾:中込秀志/衣装:真柴紀子/ヘアメイク:清水美穂/編集:洲崎千恵子/音楽:鈴木慶一/助監督:江良 圭/キャスティング:新井康太/スチール:佐藤芳夫/メイキング:綿井健陽/出演:井浦 新、田中麗奈永山瑛太東出昌大コムアイ、木竜麻生、松浦祐也、向里祐香、杉田雷麟、カトウシンスケ、ピエール瀧水道橋博士豊原功補、柄本 明 @イオンシネマ板橋

7日(木)19:00 東京芸術劇場 Presents 木ノ下歌舞伎『勧進帳』監修・補綴:木ノ下裕一/演出・美術:杉原邦生 [KUNIO]《通常公演》武蔵坊弁慶リー5世/源九郎判官義経:高山のえみ/富樫左衛門:坂口涼太郎常陸海尊&番卒オカノ:岡野康弘/亀井六郎&番卒カメシマ:亀島一徳/片岡八郎&番卒シゲオカ:重岡漠/駿河次郎太刀持ちの大柿さん:大柿友哉 @芸劇シアターイース

17日(日)15:00 BCJ #157 定演 シューベルト:ミサ曲第5番 変イ長調 D 678/交響曲第7番 ロ短調《未完成》D 759/指揮:鈴木雅明/ソプラノ:安川みく/アルト:清水華澄/テノール:鈴木 准/バス:大西宇宙/合唱・管弦楽バッハ・コレギウム・ジャパン @オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル

20日(水)19:00 N響 #1991 定演 モーツァルト交響曲 第29番 イ長調 K. 201/モーツァルト:フルート協奏曲 第2番 ニ長調 K. 314/モーツァルト交響曲 第39番 変ホ長調 K. 543/指揮:トン・コープマン/演奏:神田寛明(フルート/N響首席フルート奏者)@サントリーホール

コープマンはかなりモーツァルト交響曲全曲演奏してなかったか、たしか芸劇で。テレビで見た記憶がある。いま78歳だからかつての跳ねるような指揮振りとは違ったが、片鱗はあった。

モーツァルト交響曲第29番イ長調 K.201》編成はオーボエ2,ホルン2,弦楽。

地味目な始まりは後半39番との違いを計算した点もありそう。それでも面白い箇所がちらほら、特に第4楽章。

《フルート協奏曲第2番ニ長調 K.314》編成は29番と同じだが弦の人数を減らしてる。

神田寛明のフルートは優美。聞かせ所でもこれ見よがしにならずオケとよく馴染む。といって埋没はしない。幸福感とウキウキ感が漲る音楽。カデンツァも素晴らしかったが、神田自身の作とは! アンコールは《魔笛》「私は鳥刺し」フルート二重唱のアレンジを一人で吹いたと。すごい。

交響曲第39番変ホ長調 K. 543》フルート1(神田氏が入ってる!),クラリネット2,ファゴット2,ホルン2,トランペット2、ティンパニ1,弦楽。

初めて聴いたのは十代半ばだったか。なぜかモーツァルトで一番好きなシンフォニー。序奏がいい。かつてのベームカラヤンを聞き慣れた耳でアーノンクールを聞いたとき驚いた。すごいハイテンポで、軽やか。むろんコープマンもこの方向。序奏からアレグロに入ったときの爽快感! 氷の上を滑っているような気持ちの好さがある。3楽章のクラリネット(フルート)のトリオはオペラのアリアみたい。どこかでクラリネットが遊んだ! ティンパニも!18歳で作曲の29番から24歳の協奏曲を経て34歳の39番を聞くと、悪戯好きの個性が開花していくさまを聴き取れる。コープマン指揮の賜物か。(9/24のツイートを修正)

【29日(金)19:00 劇団銅鑼 Labo 企画 第三弾『雌伏~「ながい坂」三浦主水正、江戸に潜む~』原作:山本周五郎『ながい坂』より/脚色・演出:平石耕一/出演:鈴木正昭 長谷川由里 黒田志保 柴田愛奈 野内貴之 髙辻知枝 大竹直哉 川口圭子 金子幸枝 吉野孝正/音楽:寺田テツオ/音楽助手:北村友佳/効果:真原孝幸/照明:館野元彦/結髪:佐藤亭子/衣装&美術協力:中村真由美/舞台監督:鈴木正昭/演出助手:館野元彦/宣伝美術:中村真由美/制作:柴田愛奈 @銅鑼アトリエ】←追記