弦楽三重奏@喫茶さかもと/プロ奏者によるモーツァルト

近所の喫茶店で弦楽三重奏の生演奏を聴いた(9月7日 19:00/喫茶さかもと)。昼の部(14:00)もあったが聴いたのは夜の部。
喫茶さかもとは、ジャズ喫茶というわけではないが、絶えずジャズが心地よく鳴っている。店主も奥さんもともに本好きで、店内には美術の本や詩集等がたくさん置いてある。初めて入ったとき、本棚を見てとても懐かしかった。昔よく古本屋で見かけた本が並んでいたからだ。趣味に共通性がある。そう感じた。さらに、店の壁には、ジャズ奏者等を描いた絵がいくつか掛けてある。どれも色鮮やかで温もりを感じる作品だ。作者は店主である。本があり、絵があり、音楽がある。もちろん、美味しいコーヒーや軽食も。私にとって得がたい空間。

ヴァイオリン:志村寿一(Cayuga Chamber Orchestra@ニューヨーク)
ヴィオラ:原 孝明(新日本フィルハーモニー交響楽団
チェロ:懸田貴嗣(ラ・ヴェネシアーナ、BCJ、オーケストラ・リベラ・クラシカ等)


演奏者はご覧の通り第一線のプロ。ヴィオラの原氏は、店主の奥さんの古い呑み友達らしい。これだけのメンバーが揃ったのはそのお陰か。
志村氏の演奏を聴くのは今回が初めてだが、原氏は新日本フィルの定演で、懸田氏はラ・ヴェネクシアーナ来日時の《ポッペーアの戴冠》や レ・ボレアードの北とぴあでのオペラ演奏等で聴いている(近年はBCJの定演でも?)。といっても、いずれもオケの一員として。こんなに間近で(客席は15席ほど)しかもトリオで聴くのはもちろん初体験。(左のフライヤーは店主の作)
曲目はモーツァルトの「ディヴェルティメント 変ホ長調」K. 563(全6楽章)。喫茶店コンサートとは思えない本格的なプログラム。その分、楽章毎に原氏がエピソードを交えて次の楽章を説明。気取らない自然体のトークで、ヴィオラの温かい音色同様、人柄が滲み出ていた。「瞑想的」な第2楽章のAdagioが印象的。3楽章を終えたところで10分休憩。後半は三者が対話するように展開する第5楽章 Menuetto (Allegretto) が楽しかった。
アンコールもやはり媚びずにモーツァルト「弦楽三重奏のためのアレグロ(断章)ト長調」 K.Anh.66。やや深刻な局面に突入するように聞こえたが、未完のため、あっという間に終結
昼夜の二部制で、当然ながら楽屋もないため、休憩時も始終客の前に身をさらすことになる。そのためか、部分的にはやや疲れが見えた。それでも、クオリティの高い弦楽器の音を全身で浴びるように聴けたのは、大きな喜び。
二週間前にはやはり近所にある劇団のアトリエで充実した舞台を見た。上演演目のひとつの岸田國士をブログでモーツァルトに喩えた直後、ほんものがじかに聴けるとは(http://d.hatena.ne.jp/mousike/20160901/1472706233)。この街も捨てたものではない。
志村さん、原さん、懸田さん、ぜひまた来てください。