新日本フィル定演 #12 ルビー 2018 /初登場の鈴木雅明がメンデルスゾーンを振る

ルビー〈アフタヌーン・コンサート・シリーズ〉#12 の初日を聴いた(2月16日 14:00/すみだトリフォニーホール)。
BCJ鈴木雅明氏が初登場するので楽しみにしていた。三週間以上経ってしまったが、簡単にメモする。

指揮:鈴木雅明
管弦楽新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター西江辰郎


ブラームス:悲劇的序曲 op.81
ハイドン交響曲第104番 ニ長調 「ロンドン」 Hob.I:104

空席が目立つ。金曜の14時だから当然か。まずはブラームスから。鈴木氏はけっこう熱い指揮ぶり。ただ、進むにつれてヴァイオリン等の弦楽器群にもっとキレが欲しい気もした。
ハイドンはヴィブラートなしの自然なサウンド。3楽章のメヌエットやトリオなど面白い。フィナーレへはそのまま突入。祭りのような陽気な曲だが、オケメンバーの身体まではそうなっていない印象も。鈴木氏の棒なしの指揮は、コーラスはともかく、モダンの管弦楽団だとどうなのか。相手を踊らせるにはやはり指揮棒の方が向いているのか。

メンデルスゾーン交響曲第5番 ニ短調宗教改革」 op.107 (ホグウッド校訂版第1稿)

先の指揮棒云々の疑問は霧消した。休憩前の前半とは別オケのよう。I 冒頭から響きがまったく違う。ただならぬ美しさ。ファンファーレの華やかさに厳かな感触も。ヴァイオリンが奏でる「ドレスデン・アーメン」の透明な美しさ! II 色彩感溢れる音色と歌謡風のメロディ。III ヴァイリン群の旋律に宿る飾らない美しさ。VI フルート(白尾)から現出する信じがたい美(ここでも虚飾が微塵もない)。V コラール「神はわがやぐら」。フルート! 管楽器群。細部に至るまですべてに命と精神が宿る素晴らしい演奏。
音が完全に消えるまで待てない聴衆にはがっかりだが、聴くことができてよかった。カーテンコール。まずはフルートの白尾さんを立たせるべきでは。あの笛の音はそれほど美しかった。
それにしても、音をまったく発しない指揮者の思い入れによって、こうもオケの音は変わるのか。考えてみれば不思議である。