『Ray of light』振付:池田理沙子/音楽:イルマ/演奏(pf):蛭崎あゆみ/出演:五月女遥 池田理沙子
初日:習作の趣き。光と影。ピアノ曲(演奏ではない)があまりに…。五月女が白(光)で、池田が黒(影)。五月女の鍛え抜かれた脚が印象的。/2日目:特になし。
『echo』振付:福田紘也/音楽:トム・ティクヴァ/出演:小野寺雄 川口 藍 上中佑樹 横山柊子 渡邊拓朗 福田紘也(根岸祐衣は怪我により降板)
『L'isle Joyeuse 喜びの島』振付:柴山紗帆/音楽:クロード・ドビュッシー/出演:赤井綾乃 徳永比奈子
2人の少女が無邪気に戯れる。シャボン玉がカミテ、シモテから…。照明効果で蝶々のように見えた。妙な面白さがある。/2日目はドビュッシーの絢爛なピアノ曲に対し、動きが少し物足りなく感じた。
(休憩時にフォワイエでメモしていると、次回公演の音楽が聞こえ、舞台の余韻が台無しに…。映像は見なければいいが、音は離れても聞こえてくる。宣伝ビデオを流したい気持ちも分からないではないが、せめて映像だけにできないものか。)
『After the show』振付:福田圭吾/音楽:ルイ・アームストロング他/出演:石山 蓮 福田圭吾
昨年11月DAIFUKU「à la carte」で観た『a day』にかなり手を入れたらしい。その時のメモ「石山蓮は福田圭吾のalter egoか。まずはルイ・アームストロングが歌う “What a Wonderful World” の肯定的世界。その裏のconflict 。一方が他方の抹殺を試みる。が、色々あった挙げ句 逆に前者が後者を殺し幕。福田自身の内面?」今回は音楽が暗めの前半からアームストロングに。そしてまた暗めに。自己が分身を殺す点は同じだが、より複雑に。/死体、時間の遡行、What a wanderful world、自己が分身を殺そうとするが、結局、殺していない?
『Resonance』振付:福田圭吾/音楽:ミカエル・カールソン/出演:渡邊峻郁 池田理沙子 柴山紗帆 五月女遥 宇賀大将 中島瑞生 廣田奈々(怪我のため2日目は奥田花純に) 上中佑樹
打楽器としてのピアノの打鍵で男女のペア4組が踊る。バレエ。ハードな曲。ピアノ2台? 連弾? 五月女が凄い。男は黒タイツに上半身裸。女は黒のチュチュ。シルエットから始まりシルエットで終わる。面白い。/中間部で高音のアルペジオに。廣田奈々が怪我で降板、奥田花純に交代したが素晴らしい出来。いつ振付を覚えたのか。好い作品。カンパニーのレパートリーになる。
『3in Passacaglia』(招待作品)振付:遠藤康行/音楽:ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル/出演:米沢 唯 仲村 啓 渡邊拓朗/小野絢子 石山 蓮 山田悠貴
無音のなか米沢がポワントで危うさを出しながらゆっくり〝歩む〟…。ヘンデルの音楽が始まると、米沢が激しく踊り、二人の男がそこに絡み…。男、特に二人目の動きが甘い。米沢に見合うキャスティングができなかったのは残念。冒頭の無音パートはいかにも小池ミモザに振り付けたと思わせるが、それを米沢は自分のものにしていた。2012年の初演はメルパルクで見たはずだが覚えていない。2人の男性は柳本雅寛と遠藤だったらしい。/原曲はハープシコードだが、ハルヴォルセンの編曲(1897)ではヴァイオリンとヴィオラ(音源はチェロ版?)。小野は何かに向けてというより、踊りとしての強度にフォーカスしていたか。勘の良い山田と石山の絡みと相まって、弦楽器演奏に特有のヒリヒリ感がよく出ていた。
「DANCE to the Future」で振付の才能を見出したダンサーたちが次第にカンパニーを去って行く。大変残念だが、ダンサーの成長と〝持続可能性〟を促す、この素晴らしい企画は、なんとか形骸化させないで続けていってほしい。