新国立劇場 演劇研修所 第9期生修了公演『噛みついた娘』

「ニューイヤー・バレエ」の初日を見る前に、三好十郎の『噛みついた娘』を観た(1月9日 14:00/新国立劇場小劇場)。簡単にメモする。

作:三好十郎(1902-58)
演出:栗山民也(演劇研修所長)
美術:伊藤雅子
照明:田中弘子
音響:福澤裕之
衣裳:成田有加

キャスト
北向麗子:高橋美帆
柿村ステ:八幡みゆき
須山(新聞記者):草磲智文
スズ(女中):加茂智里
書生:永澤 洋(第8期修了)
富田睦子(長女):竹内香織
富田宇之介(長男):村岡哲至
富田紱子(夫人):岡崎さつき
クニ(女中):宇田川はるか
富田紱治郎(次男):清水優譲
畑山(ピアニスト):形桐レイメイ(第5期修了)
逸見キチ子:泉 千恵(第6期修了)
富田卯太郎(主人):坂川慶成(第8期修了)
若目田完治:峰粼亮介(第7期修了)
ラヂオの聲:西原康彰

主催:文化庁新国立劇場

昭和11(1936)年作の一時間半ほどのコメディ。東北の娘が東京の資産家に女中として入り、家の欺瞞に満ちた内幕を〝正直に〟暴いてしまう。「家政婦が見た」の原型みたい。正直当初は役者が小粒だなあと感じたが、芝居が進むにつれて作品の面白さが立ち上がっていった。ステ役の八幡みゆきは〝山出し感〟がよく出ており、初めての都会や不正に驚く〝びっくり顔〟がとてもよい。春光園ホームの北向を演じた高橋美帆は偽善的キリスト者をコミカルに好演。女中スズの加茂智里は腹の決まった声。女中クニの宇田川はるかはいかにも資産家のぼんぼんに見初められそうな女性。夫人役の岡崎さつきは年齢的に難しい役所だが健闘した。次男役村岡哲至の暗さ、種違いの長男役清水優譲の「ズドーン」等々、当然ながら適材適所と感じさせるキャスティング。三好十郎は『冒した者』(1952)もそうだが、本作でもキリスト者に手厳しい。