シー・イージェ(石倚洁)のテノールがまた聴ける

上海生まれのテノール歌手シー・イージェ Shi Yijie(石倚洁)が日本での初リサイタルを開く。昨日の「朝日新聞」夕刊で初めて知った(危うく聴き逃すところ)。ただ、その記事には「韓国の若手テノール」と表記されていたが(もちろん中国が正しい)。

シー・イージェ テノール・リサイタル
2012年7月18日(水)19時
東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル
ピアノ:浅野 菜生子
チケット価格
S:¥7,000
A:¥5,000
B:¥3,000
お問い合わせ・お申し込み
東京プロムジカチケットデスク
03-3372-7050

曲目
前半
スカルラッティ:《愛のまこと》〜“ガンジス川から陽は昇り”
A. Scarlatti : «L’honestà negli amori» 〜“Già, il sole dal Gange”

モーツァルト:《魔笛》〜“なんと美しい絵姿”
W.A.Mozart : «Die Zauberflöete» 〜“Dies Bildnis ist bezaubernd schön”
      :《後宮からの逃走》〜“コンスタンツェよ、また会えるとは”
       : «Die Entführung aus dem Serail» 〜“Constanze, dich wieder zu sehn”

ドニゼッティ:《愛の妙薬》〜“人知れぬ涙”
G.Donizetti : «L’elisir d’amore» 〜“Una furtiva lagrima”

ロッシーニ:《アルジェのイタリア女》〜“今やぼくの心は喜びにはずんでいる”
G.Rossini : «L’italiana in Algeri» 〜“O come il cor di giubilo”
     :《チェネレントラ》〜“ああ、誓ってまたみつけよう”
     : «Cenerentola» 〜“Si, ritrovarla io guiro

後半
ヴェルディ:《第一次十字軍のロンバルド人》〜“私の喜びは呼び覚ます”
G.Verdi : «I lombardi alla I Crociata» 〜“La mia letizia infondere”

チレーア:《アルルの女》〜“フェデリーコの嘆き”
F.Cilèa : «L’Arlesiana» 〜“Lamento di Federico”

グノー:《ファウスト》〜“この清らかな住まい”
C.Gounod : «Faust» 〜“Salut! demeure chaste et pure”

レハール:《ほほえみの国》〜“君はわが心のすべて”
F.Lehár : «Das Land des Lächelns» 〜“Dein ist mein ganzes Herz”

トスティ:君なんかもう
F.P.Tosti : Non t’amo più

デ・クルティス:忘れな草
E. de Curtis : Non ti scordar di me

ガスタルドン:禁じられた音楽
S.Gastaldon : Musica proibita
http://tokyopromusica.jp/concert/yijie.html

シー・イージェは、ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルの芸術監督でペーザロのアカデミア・ロッシニアーナ学長も務めた(いまも?)アルベルト・ゼッダが日本に連れてきた。東フィル定期でロッシーニ『ギヨーム・テル』演奏会形式(ハイライト)と『スターバト・マーテル』を振ったときだ(2010年3月)。イージェを聴くのはもちろん初めてだったが、ほんとうに仰天した。細い身体で真正面から直球勝負で歌い上げるその姿勢。驚嘆すべき高音の力強さと美しさ。われわれと同じ東洋人にこんな歌手が居たのだ。しかも、中国から日本へ留学し東邦音楽大学で学んだとの由。その後ヨーロッパへ渡り、いまや国際的に活躍していることを知るとなんだか嬉しかった。
ただ、リサイタルは一週間後だというのに、余裕で好い席が取れた(一階席のみ発売)。つまり、あまり売れていないらしい。自分自身の目や耳で判断・評価せず、既成の〝ブランド〟(それもほとんどが欧米人/モノ)にしか興味を示さない消費者がいまだに少なくないこの国のこと。そうした芸術文化のいびつさが売れ行きに影響しているとすれば、悲しい。いや、そんなことはないか。ただ、宣伝不足にすぎないだけか。いずれにせよ、30才になった石くんの歌声がまた聴けると思うと、いまからわくわくする。