パリ・オペラ座バレエ団『マノン』2024

パリ・オペラ座バレエ団『マノン』の初日と千穐楽マチネを観た(2月16日 金曜 19:00,2月18日 日曜 13:30/東京文化会館)。

全3幕/振付:ケネス・マクミラン/音楽:ジュール・マスネ/オーケストレーション・編曲:マーティン・イエーツ/原作:アヴェ・プレヴォ「騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語」/装置・衣裳:ニコラス・ジョージアディス/照明:ヤコポ・パンターニ/パリ・オペラ座バレエ団初演:1990年11月9日

指揮:ピエール・デュムソー/演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

同年2月17日と22日のポストを以下に貼り付ける。

【2月16日】マノン:ドロテ・ジルベール/デ・グリュー:ユーゴ・マルシャン/レスコー、マノンの兄:パブロ・レガサ/レスコーの愛人:ロクサーヌ・ストヤノフ/ムッシューG.M.:レオ・ド・ビュスロル/マダム:ロール=アデライド・ブコー

第1幕 第1場パリ近郊の宿屋の中庭

レスコー、 レスコーの愛人、 デ・グリュー、ムッシューG.M.、 マダム、 マノン

乞食の頭:フランチェスコ・ムーラ/乞食:ケイタ・ベラリ、ルーベンス・シモン、ラム・シュンウィン、マニュエル・ガルリド、ミカ・レヴィーヌ、レミ・サンジェール=ガスネール、ディアーヌ・アデラック、リサ・プティ、リュシアナ・サジオロ、山本小春/高級娼婦:カン・ホヒョン、オーバーヌ・フィルベール、ビアンカ・スクダモア、ニーヌ・セロピアン/3人の若い紳士:トマ・ドキール、ファビアン・レヴィヨン、ダニエル・ストークス/紳士:イサック・ロペス・ゴメス、ナタン・ビッソン、サミュエル・ブレ、シリル・ショクルン、ポール・マイヤラス/娼婦:セリア・ドゥルイ、 アンブル・シアルコッソ、桑原沙希、パティントン・エリザベス・正子、ルナ・ペニェ、イゼ・ブルティニエール、イロナ・カブレ、カミーユ・カラザン、リサ・ガイヤール=ボルトロッティ、グロリア・プボー、ニノン・ロー、ロドリーヌ・ショール/老紳士:ジャン=バティスト・シャヴィニエ

第2場 パリ、デ・グリューの下宿

マノン、 デ・グリュー、 レスコー、 ムッシューG.M.

第2幕 第1場 高級娼家でのパーティー

マダム、 紳士、娼婦、 デ・グリュー、レスコー、 レスコーの愛人、 ムッシューG.M.、マノン

高級娼婦:カミーユ・ボン、カン・ホヒョン、オーバーヌ・フィルベール、ビアンカ・スクダモア、ニーヌ・セロピアン/男装した娼婦:ルナ・ペニェ

第2場 デ・グリューの下宿

マノン、 デ・グリュー、 ムッシューG.M.、 レスコー

近衛兵:ラム・シュンウィン、ルーベンス・シモン、ケイタ・ベラリ、マニュエル・ガルリド、マニュエル・ジョヴァーニ、レミ・サンジェール・ガスネール、オジリス・オナンベレ・エヌゴノ

第3幕 第1場 ニューオーリンズの港

高級娼婦、娼婦、 マノン、 デ・グリュー、看守 アレクサンダー・マリアノフスキー

兵士:ラム・シュンウィン、ルーベンス・シモン、ケイタ・ベラリ、ナタン・ビッソン、サミュエル・ブレ、マニュエル・ガルリド、 ミカ・レヴィーヌ、ポール・マイヤラス/市民:ディアーヌ・アデラック、リサ・プティ、山本小春、リュシアナ・サジオロ、アナスタシア・ガロン

第2場 看守の部屋

看守、 マノン、 デ・グリュー

第3場 沼地

マノン、 デ・グリュー、これまでの登場人物

初日(2月18日)

主役二人特にデ・グリュー(マルシャン)は難なく踊りすぎ。〝癖〟のあるマクミラン振付が標準化されたような。ソロもPDDもスムーズで巧いが、なぜその動き/振付なのか。何も出てこないし〝気〟も感じない。デ・グリューには〝懸命さ〟がほしいが、見えるのは〝この振りはわけなく踊れるよ〟ぐらい。神学生デ・グリューの〝誠実〟は見えない。マノンのジルベールも脚の動きなどあっさりしてる。レスコーのレガサ、愛人のストヤノフはいいと思う。ムッシューGMも。

2幕2場ベッドルーム奥の襤褸壁は、貧困を象徴するジョージアディスの初演美術か。

3幕 連れ去られたマノンに追い縋るデ・グリューの踊りは鮮烈な音楽に追いついてない。看守マリアノフスキーがマノンを陵辱する絡みは両者とも好演。デ・グリューが看守を刺殺した後の踊りも不十分(もっと狂って!)。沼地の走馬灯シーンと続くPDDの照明は明るすぎないか。床が見えすぎガラ公演のよう。沼地PDDのジルベールは見事に回転ジャンプし、マルシャンは難なく受けとめる。がそれだけ。マノンはここで何をしているのか。

『マノン』音楽の要はチェロだけど弱い。

『マノン』は99年のギエム&コープ&ムハメドフで初体験して以来、色々見てきたが感情が動かなかったのは初めて。見る日を間違えた? パリオペの『マノン』はいつもこうなのか? 来日だから? どこかマクミラン作品を大事にしていない印象を受けたのは気のせい? 結局、明日18(日)のマチネで再確認(捲土重来? 口直し?)することに。2024.2.17ポスト

【2月18日マチネ】マノン:リュドミラ・パリエロ/デ・グリュー:マルク・モロー/レスコー、マノンの兄:フランチェスコ・ムーラ/レスコーの愛人:シルヴィア・サン=マルタン/ムッシューG.M.:フロリモン・ロリュー/マダム:ロール=アデライド・ブコー

第1幕 第1場 パリ近郊の宿屋の中庭

乞食の頭:ラム・シュンウィン/乞食:ルーベンス・シモン、 ケイタ・ベラリ、サミュエル・ブレ、マニュエル・ジョヴァーニ、ミカ・レヴィーヌ、レミ・サンジェール=ガスネール、ディアーヌ・アデラック、リサ・プティ、リュシアナ・サジオロ、アナスタシア・ガロン/高級娼婦:カン・ホヒョン、オーバーヌ・フィルベール、ビアンカ・スクダモア、ニーヌ・セロピアン/3人の若い紳士:トマ・ドキール、ファビアン・レヴィヨン、ダニエル・ストークス/紳士:レオ・ド・ビュスロル、イサック・ロペス・ゴメス、アレクサンダー・マリアノフスキー、エンゾ・ソガール、シリル・ショクルン、ポール・マイヤラス娼婦:セリア・ドゥルイ、 アンブル・シアルコッソ、桑原沙希、パティントン・エリザベス・正子、ルナ・ペニェ、イゼ・ブルティニエール、イロナ・カブレ、カミーユ・カラザン、リサ・ガイヤール=ボルトロッティ、オルタンス・パジュレール、グロリア・プボー、ニノン・ロー、ロドリーヌ・ショール、山本小春/老紳士 ジャン=バティスト・シャヴィニエ

第2幕 第1場 高級娼家でのパーティー

高級娼婦:カミーユ・ボン、カン・ホヒョン、オーバーヌ・フィルベール、 ビアンカ・スクダモア、ニーヌ・セロピアン/男装した娼婦:ルナ・ペニェ

第2場 デ・グリューの下宿

近衛兵:ラム・シュンウィン、ルーベンス・シモン、ケイタ・ベラリ、サミュエル・ブレ、マニュエル・ジョヴァーニ、オジリス・オナンベレ・エヌゴノ、レミ・サンジェール=ガスネール

第3幕 第1場 ニューオーリンズの港

看守:アルチュス・ラヴォー/兵士:ラム・シュンウィン、ルーベンス・シモン、ケイタ・ベラリ、ナタン・ビッソン、サミュエル・ブレ、マニュエル・ガルリド、ミカ・レヴィーヌ、ポール・マイヤラス/市民:ディアーヌ・アデラック、リュシアナ・サジオロ、ロドリーヌ・ショール、山本小春、アナスタシア・ガロン

楽日マチネ(2月18日)

ドラマが立ち上がった。初日にぴくりともしなかった感情が動く。オケもより整っていた。1幕。愛人 サン=マルタンは脚技のニュアンス(脚の魅力を誇示/焦らす)が薄い。デ・グリュー(マルク・モロー)挨拶のソロは気持ちは伝わるが少し地味。孔雀が羽を広げる華やかさ/大きさが欲しい。マノン(リュドミラ・パリエロ)は役にはやや清楚に見えるが、出会いのPDDは音楽の短調効果で少しグッときた。二人とも慎ましいけど。ベッドルームPDDは喜びの踊りに見えたが+αがあればさらによい。マノンと絡むGMはいやらしさが希薄。デ・グリューと絡みむレスコー(ムーラ)の爪先立ちはもっと激しさがあっていい。チェロは濃密な音色と強度が不足。マノンのテーマのフルートはとてもよい。

2幕。娼婦二人のケンカ踊りはよくなった(初日と同じキャストらしいが)。

レスコー泥酔踊りと愛人とのPDDは(音楽に見合う)ペーソス湧出に至らず。三人紳士の踊りは手脚の長さが半端でない。マノンのソロダンスはスムーズとも違う? マノンが次々リフトされる場のデ・グリュー介入は印象的でシンバル音が効果的。最後にマノンがGMにブレスレットを嵌められるのは看守の場の伏線。二人きりでのデ・グリューの苦悩が出会いのPDDと同じテーマで。続くソロは少し堅いか。カードのいかさまは上着のポケットでなく袖の折り返しで。デ・グリューの演技は初日より細かい。盗み見る側も(初日は共に雑だった)。

デ・グリュー下宿。ブレスレットPDDは気持ちのぶつかり合いがよく出てた。GMに撃たれたレスコーの演技はもっと。逃げずに駆け寄るマノン好し。オケでチェロの弱さはやはり気になるが他はよい。

3幕。看守に目をつけられ、サポートされるマノンのあり方とても好い。無力に見守るしかないデ・グリューが拉致されるマノンを追いかける様は初日同様、物足りない。看守に汚され褒美にブレスレットを巻かれるシーンはグッときた。看守刺殺後のデ・グリューは気のない踊り。これがパリオペ流? 凶器のナイフをデ・グリューに見せるマノン好い。沼地の走馬灯はやはり明るいが、マノンの演技で信じられた。PDDで天に向かって飛び上がるマノン。パリエロのジャンプ回転はとてもよい。ギエムのイメージで踊ってる? シモテへよたよた歩き前へ倒れかかると、辛うじて支えるモロー。グッときた、かなり。動かないマノン。命の尽きたマノンを嘆くデ・グリュー。なぜ彼はマノンの背中に自分の背を必死で入れようとするのか。天と地の対関係は見られず。〝真面目〟なモローと役を生きるパリエロが初日に優る舞台にした。がマクミランの振付演出が薄まっている印象は変わらない、初演美術採用でも。年月の経過が振付意図の伝授を難しくする。むろん新たな解釈はあってもよいが、定期的な〝惰性〟のチェックは必要だろう。それともやった結果なのか。2024.2.22ポスト

【新国立版『マノン』(2020年2月)のリンクを張るの忘れてた。その感想メモはここ。】