山崎広太 劇場プロジェクト 新作ダンス『机の一尺下から陰がしのび寄ること』2022

山崎広太の新作ダンス『机の一尺下から陰がしのび寄ること』初日を観た(12月28日 水曜 19:30/BankART Station 横浜)。

以下、2022.12.29, 30のポストを再掲する。

振付:山崎広太/ダンス:穴山香菜、岩渕貞太、小暮香帆、鶴家一仁、西村未奈、宮脇有紀、山野邉明香、山崎広太/音楽:大谷能生、永井健太/美術:山村俊雄/照明:岩品武顕/衣装:GAZAA さとうみち代、山崎広太/音響:齊藤梅生/舞台監督:河内崇/制作:霜村和子/制作協力:岩中可南子、くわはらよしこ/Flier design:Suzuki Seiichi Design Office/主催:一般社団法人ボディアーツラボラトリー/協賛:蟻鱒鳶ル/助成:文化庁「ARTS for the future! 2」補助対象事業/レジデンス協力:Dance Base Yokohama

三部構成+エンディングの80分。第三部の下駄踊りに心が動いた。素足女と下駄女のデュオで後者の木暮香帆がパドブレみたいにケタケタ進みながら上半身を嬉しそうに動かす。その喜びは即こちらに伝播した。初めてポアントで踊った時の喜びみたい。続く下駄踊りの群舞は壮観だった。男(鶴屋一仁)が下駄足を高く上げ、かけ声かけてステップし、見得を切る…。広太が奇声を発し意味不明の言葉を喋りつつ激しく踊る。あっという間にシモテから場外へ消え、怒濤のごとく再登場しエネルギッシュに踊る。グッときた。

かつて『Hyper Ballad』(2001年3月/新国立中劇場)『ショロン』(2001年5月/シアターコクーン)『浄められた夜』(2001年6月/芸劇小ホール)で広太が見せた岩石をドリルで穿つような〝ハチャメチャ〟ダンスを、この下駄ダンスが一瞬で照射した。この〝ハチャメチャ〟は実はとても繊細に分節化されている。そう感じた。

竹内敏晴は山崎広太を見て「これこそダンス」と言ったという。演出家の竹内によれば、「演劇は、日常のルールにのっとった行動を、新しく組み立てた約束事によってぶちこわし、その裂けめからなまなましく奔騰してくるものを突きつける装置」、「演技[アクション}とは、日常生活の約束事…によって疎外されている「生きられる世界」…をとりもどす試み」「からだを根源的にとり返す試み」のこと。竹内の演劇(演技)論は、ダンスにそのまま当て嵌まる。広太の下駄ダンスは、まさに「からだを根源的にとり返」し「からだを劈く」試みだった。単なるハチャメチャではこうはいかない。「これこそダンス」だ。12/29 ツイート

下駄履き8人の輪舞は盆踊りやアフリカの民族舞踊を想起させた。地霊と交歓する祭礼に見えたから。裏返った男2人を背景に西村未奈が語り踊る冒頭、四つん這いで始まる群舞、妖艶な仏像を思わせる西村のコーダは、気を蓄え噴出する下駄ダンスの工程/行程だったのか。キツい年の瀬[オペ入院前の検査等々]に観られたのは僥倖だった。12/30 ツイート