「バレエ・アステラス〜海外で活躍する日本人バレエダンサーを迎えて世界とつなぐ〜」2025

「バレエ・アステラス」の初日を見た(7月18日 金曜 14:00/新国立劇場オペラハウス)。

指揮:アレクセイ・バクラン/管弦楽東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

アステラスのピットに東京シティフィルが入るのは初めてか。たしか指揮者バクランも。

以下、ごく簡単にメモする。

第1部

『トリプティーク~青春三章~』振付:牧 阿佐美/音楽:芥川也寸志

出演:新国立劇場バレエ研修所

第2楽章「子守唄、アンダンテ」で踊った二組のペアはみな上背がありかたちはよい。技術はまだ甘いようだがきれいに踊った。芥川の音楽は悪くない。

『サタネラ』よりパ・ド・ドゥ/振付:マリウス・プティパ/音楽:チェーザレ・プーニ

出演:中島 耀(ドレスデン国立歌劇場バレエ コール・ド・バレエ)、モイセス・カラーダ・パルメロス(ドレスデン国立歌劇場バレエ セカンド・ソリスト

真面目に見える二人がしっかり真面目に踊る。その真面目さに見合う演目ならなおよかった。

アンナ・カレーニナ』よりパ・ド・ドゥ/振付:ユーリ・ポソコフ/音楽:イリヤ・デミューツキー

出演:金澤優美(ジョフリー・バレエ)、清沢飛雄馬(ジョフリー・バレエ)

振付はウクライナ人なのか。アンナとヴロンスキーではなく、キティとリョービンのPDD。シンプルな小道具(ソファ、カーテン、照明)で転換する短時間、音楽が劇的に展開し、一気に濃厚な愛の時間がくる。キティ金澤が見つめる中、リョービン清沢が濃密に踊るソロは見応えあり。

ラ・シルフィード』第2幕よりパ・ド・ドゥ/振付:オーギュスト・ブルノンヴィル/音楽:ヘルマン・ルーヴェンシュキョル

出演:ジェシー・ドーティー(ヒューストン・バレエ コール・ド・バレエ)、アクリ士門(ヒューストン・バレエ ソリスト

ブルノンヴィルの感触はやや乏しかったか。両回転しなかったのはともかく、脚さばきを含む踊りも表の筋肉だけ使っているような印象。アクリは演目が変われば活きるかもしれない。

『ロメオとジュリエット』よりバルコニーのパ・ド・ドゥ/振付:クシシュトフ・パストール/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ

出演:チョン・ジェウンポーランド国立歌劇場バレエ団 ファースト・ソリスト)、北井僚太(ポーランド国立歌劇場バレエ団 ファースト・ソリスト

匍うような男の動きや、互いに手を相手の肩越しに差し入れ、顔を触り…。面白い振付。それでもプロコの音楽に合っている。ジェウンも北井も好いダンサー。物語をイタリアのファシズム、テロ、社会分断など、過酷な社会状況に設定しているという。全幕を見てみたい。

『Within the Golden Hour』よりパ・ド・ドゥ/振付:クリストファー・ウィールドン/音楽:アントニオ・ヴィヴァルディ

出演:高田 茜(英国ロイヤルバレエ プリンシパル)、平野亮一(英国ロイヤルバレエ プリンシパル)/ヴァイオリン演奏:城戸かれん(東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団ゲスト・コンサートマスター

高田は片脚を高く上げるだけで、何かを出せる。倒立形でリフトされた両脚を絶妙にコントリールして魅せた。平野のサポートは盤石。さすが。

~休憩25分〜

第2部

『ゼンツァーノの花祭り』よりパ・ド・ドゥ/振付:オーギュスト・ブルノンヴィル/音楽:ホルガー・シモン・パウリ

ナポリ』よりパ・ド・シス/振付:オーギュスト・ブルノンヴィル/音楽:エドヴァルド・ヘルステッド、ホルガー・シモン・パウリ

出演:パリ・オペラ座バレエ学校

ブルノンヴィルの感触が踊りで出たとはいえないが、それでも牧歌的なほのぼのした幸福感が滲み出た。スクールでも年齢に応じてじっくりと見守り教えているのだろう。うらやましい。

『Take Me With You』よりデュエット/振付:ロベルト・ボンダラ/音楽:レディオヘッド

出演:野黒美茉夢(西オーストラリアバレエ)、フリオ・ブラネス(西オーストラリアバレエ)

あれだけでは作品のよさが分からなかった。

コッペリア』第3幕よりパ・ド・ドゥ/振付:アルテュール・サン=レオン/音楽:レオ・ドリーブ

出演:升本果歩(ノーザンバレエ)、石井 潤(ノーザンバレエ)

二人ともよく踊れるが、アダージョで何かが出るまでには至らず。石井はヴァリエーションで技を見せた。

『シンデレラ』第2幕よりパ・ド・ドゥ/振付:スタントン・ウェルチ/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ

出演:藤原青依(ヒューストン・バレエ ファースト・ソリスト)、チャン・ウェイ・チャン(ニューヨーク・シティ・バレエ プリンシパル

面白い。チャンはサポートも踊りも凄みで魅せた。片手で相手を回す、アクロバティックに振り回しリフトする等々(雑技団顔負け)。藤原はモノみたいにリフトされブンブン振り回されても物ともしない。積極的なシンデレラ像はジュリエットのよう。

「王子の秘書ダンディーニ」は、ロッシーニチェネレントラ》の王子が変装した従者名。ウェルチ版は王子の方でなく秘書ダンディーニこそ〝彼女の真の王子〟ということらしい。二人を本作の全幕で見てみたい。

『アスフォデルの花畑』よりパ・ド・ドゥ/振付:リアム・スカーレット/音楽:フランシス・プーランク

出演:高田 茜(英国ロイヤルバレエ プリンシパル)、平野亮一(英国ロイヤルバレエ プリンシパル)/ピアノ演奏:巨瀬励起、滝澤志野

派手さはないがバレエの美を見せた。このPDDだけで魅せるの簡単でないはず。瀧澤と巨瀬のピアノは華やか。

〈フィナーレ〉出演者全員

グラズノフ『バレエの情景』第8曲「ポロネーズ」で出演者が次々に再登場し、華麗に踊り、袖へ去る。

今年も入りはあまりよくなかった。平日マチネだからか。

昨年も書いたが、配布プログラム冒頭の演目・出演者の頁に振付家の記載がないのはかなり不便。『アンナ・カレーリナ』『ロミ・ジュリ』『シンデレラ』等は色んな版がある。毎年、開演前に頁を捲りながら手書きで記してる。ぜひ観客目線の改善をお願いしたい。

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