新国立劇場バレエ団『不思議の国のアリス』2025【追記】

不思議の国のアリス』再演の全4キャスト+9日目マチネを観た(6月12日 木曜 19:00,14日 土曜 13:00,18:30,20日 金曜 14:00,21日 土曜 13:00/新国立劇場オペラハウス)。

『アリス』は2011年2月に英国ロイヤルバレエがカナダナショナルバレエと共同制作・初演した久々の本格的物語バレエ。それを18年11月に新国立バレエがオーストラリアバレエと共同制作・初演(全8回/全2キャスト+1回を見た)、22年6月の再演は全10回(同じく全3キャストを)、3回目の今回は全13回。

イギリスが生んだ〝ナンセンス文学〟の傑作をバレエ化した『アリス』は、以下で縷々述べる通り、エンタメとしてもよく出来ている。が、正直、イギリス人がイギリス(英語圏)のために創った『アリス』を再演するなら、イギリス人が日本のために創った『パゴダの王子』(2011年初演/14年再演)を再演してほしかった(3年前の再演時もそう思った)。

以下は、バレエ『アリス』のパフォーマンス面(後半で少し書いた)よりも、作品自体についてあれこれ考えた、文字通りの超だらだらメモ。

不思議の国のアリス』全3幕/振付:クリストファー・ウィールドン(1973- )/音楽:ジョビー・タルボット(1971- )/美術・衣裳:ボブ・クロウリー(1952- )/台本:ニコラス・ライト(1940- )/照明:ナターシャ・カッツ/映像:ジョン・ドリスコル&ジュンマ・キャリントン/パペット:トビー・オリー/マジック・コンサルタント:ポール・キエーヴ/指揮:デヴィッド・ブリスキン 冨田実里(6/14 土 13:00,21 土 18:30,24 火)/管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団コンマス:依田真宣)

久し振りに見る『アリス』は1幕が長すぎると感じる。2回目以降そうでもないのは、慣れるからだろう。これは劇場初演時から同じ。

そもそも2011年のロンドン初演は2幕構成で、マッドハッターまでが1幕で70分も要したらしい。そこで初幕を「豚と胡椒」で区切って3幕構成に改訂。そのさい「豚」直後にアリスとジャックのPDDを追加した模様。だが、この改訂版でも長く感じるから不思議だ。

原作『アリス』は好奇心旺盛な7歳のアリスがウサギ穴に飛び込み、奇妙な動物やカードたちと遭遇する。言葉遊び満載の突飛なシーンが次々現れても別に問題ない。意味(無意味)が飲み込めねば読み直せるし、集中が切れたら本を閉じればよい。

一方、バレエに言葉はないし〝巻き戻し〟も不可。観客の集中を切らさずアリスの冒険に同伴させるには、相応の工夫が必要となる。

試しに原作本とバレエ初演版・改訂版の内容(エピソードの順序)を比べてみる。

【1865年/原作本】序詩 第1章「ウサギ穴落下」 第2章「涙の池」 第3章「コーカス競走と長い話」 第4章「ウサギがビルを投入」 第5章「イモ虫の忠告」 第6章「豚と胡椒」 *第7章「狂った茶会」 第8章「クィーンのクロッケー場」 第9章「ウミガメもどきの話」 第10章「ロブスターのカドリール」 第11章「誰がタルトを盗んだか?」 第12章「アリスの証言」[*1864年にキャロルがアリスへ贈った手書きの絵本『地下の国のアリス』に第7章「狂った茶会」はない。]

【2011年/初演版】第1幕(プロローグ/1862年)「学寮長館で庭園パーティ(茶会)」→「ウサギ穴を落下」→「ドアだらけのホールと涙の池」→「コーカス競走」→「豚と胡椒」→「チェシャー猫」→「狂った帽子屋の茶会」

第2幕 「イモ虫」→「花の庭園」→「ハートの女王とクロッケー試合」→「ハートのジャックと裁判」→(エピローグ/現在)「アリスの目覚め」

【2012年/改訂後】第1幕(プロローグ/1962年)「学寮長の館で庭園パーティ(茶会)」→「ウサギ穴を落下」→「ドアだらけのホールと涙の池」→「コーカス競走」→「豚と胡椒」PDD追加

第2幕「チェシャー猫」→「狂った帽子屋の茶会」→「イモ虫」→「花の庭園」

第3幕「「ハートの女王とクロッケー試合」→「ハートのジャックと裁判」→(エピローグ/現在)「アリスの目覚め」

原作の「序詩」は、ボート遊びでルイス・キャロルがリドル家の三姉妹にせがまれ、即興のお話を聞かせた経緯が綴られる。時は1862年7月4日午後のこと。〝作品誕生〟のエピソードだ。アリスは当時10歳だが、それをキャロルは7歳に設定した(キャロルは6〜11歳くらいの少女に惹かれた)。

バレエでは、ボート遊びを学寮長夫妻の庭園パーティにアレンジし、アリス三姉妹ほか実在のリドル夫妻や招待客らと不思議の国のキャラクターを対応させ、プロローグで顔見世する趣向。

さらにいえば、原作の第4章「ウサギがビルを投入」はアリスの頭が天井につかえる場(ドアだらけのホール)に組み込み、言葉遊びや替え歌(パロディ)が主眼の第9章「ウミガメもどきの話」と第10章「ロブスターのカドリール」はカットし、クイーンが暴君ぶりを発揮する「クロッケー試合」と「裁判」の場(「誰がタルトを盗んだか?」「アリスの証言」)を連続させた。原作の第5章「イモ虫」と第7章「茶会」の順序をバレエで逆にした点は、あとで触れる。

改訂版と初演版の違いは、先の通り、幕の区切りとPDD追加だけらしい(追加PDDについてものちほど)。

さて、7歳から15歳に成長させられたプロローグのアリスは、庭師の少年ジャックに恋心を抱き、パーティ用のタルトをジャックに渡すが、母は庭師ジャックが盗んだと決めつけ解雇する。こうして、アリスのジャックへの(身分違いの)恋は、物語バレエに〝恋愛〟要素を加味し、パ・ド・ドゥの価値を高めるだろう。アリスの行動原理が、原作の〝好奇心〟に、ジャックへの恋(負い目)と母の理不尽さへの怒りが加わった点は見逃せない。ただ、動機がさらに付加されるからややこしくなる…。

アリスの落下後、ホールのドアからワルツが聞こえる。弱音で。「見たこともない美しい庭園」(原作)への誘いだ。が、ドアは開かない。

と突然ドアが開き、ハートの騎士(ジャック)がハートの女王(母)らに追われ、白ウサギ(キャロル)も出てきて、また戻って締まる。ジャックや女王の出没が、このあと何度か反復されるのは、アリスの動機(恋と怒り)を喚起して、観客の興味・集中を終幕まで維持するためだろう。

その後、動く小さなドアにアリスが頭を入れると、あのワルツが華やかに奏され、花吹雪が舞い、踊り子が踊る。が、客席に現出した「花の庭園」は即座に消失。それ以上小さなドアに入れないから(それで「涙の池」になる…)。

「どんなにアリスは、その暗い廊下を抜け出して、あの美しい花壇や涼しげな噴水の間をぶらつきたかったことでしょう」(多田幸蔵訳)。これこそ三つ目の動機で、アリス本来の(人間の)願望だと思う。

この「美しい庭園」からT. S. エリオットの詩行「開けたことのない/薔薇園へ通じるドア…」(「バーント・ノートン」1935『四つの四重奏』)が生まれた。詩人の「薔薇園 rose-garden」が過去の現実化しなかった〝善き生〟を象徴するなら、キャロルの「美しい庭園 loveliest garden」はどうか。子供時代の無垢な世界? (ルイス・キャロル=チャールズ・ラトウィッジ・ドッドソンは牧師の息子で聖職者ゆえに)〝原罪〟以前の楽園? バレエ作者は、ユートピア的世界と見ているらしい。

なぜなら、原作の順は「イモ虫」「豚と胡椒」「茶会」だが、バレエは初演・改訂ともに「豚」「茶会」の次が「イモ虫」で、アリスがキノコを食べて「花の庭園(ワルツ)」となるから。この変更は、あの「庭園」がキノコの幻覚に過ぎず〝どこにもない〟(ユートピア的)楽園だと暗示するためだろう。

ともあれ、アリスの新たな目標「花の庭園」(ワルツ)は、その片鱗を1幕前半で一瞥しただけ。初幕は「豚と胡椒」という、およそ「花の庭園」とは対照的なカオスで終わる。この願望の実現は、2幕の幕切れまで焦らされるだろう。この遅延を補うように、改訂版ではドタバタ直後、アリスとジャックがパ・ド・ドゥを踊って幕となる。

注目すべきは、このときの白ウサギだ。HOME SWEET HOME の前に立ち、手持ち無沙汰にタルトの皿を持ち替え、気まずそうに、挙動不審の態で、二人が心を通わせる踊りを、見るともなしに見る。白ウサギがキャロルの分身とすれば、図らずも極めて〝意味深〟の場となった。

もうひとつ、作品『アリス』の淵源が1862年7月の川遊びだったと先述した。だが、64年5月に再度三姉妹をボート遊びに誘ったキャロルは、リドル夫人からきっぱり拒絶されたという。この間、キャロルとリデル家で何があったのか。キャロルが当時11歳のアリスに結婚を申し込み、上流好みのリドル夫人が一介の数学教師を相手にしなかった等の憶測もあるが、確証はないらしい(ステファニー・ストッフル)。

ただ、バレエでの「アリスの母/女王」のキャラ造形はこれと無関係とは思えない。威圧的で理不尽な母/女王に、ローズアダージョのパロディを相撲の〝初っ切り〟よろしく禁じ手満載で踊らせる(アシュトン『シンデレラ』の舞踏会でアグリーシスターズがナポレオンやウェリントンと踊るコミカルなPDDから着想?)。あの振付演出は、キャロル(白ウサギ)のリドル夫人への苦い思い(?)をバレエ作者が汲み取って、それを代わりに昇華した!というのは言い過ぎか。

さて、1幕が長く感じる話に戻れば、盛り沢山の視覚情報等のほかに、これまで見てきた事情(アリスの複数の動機、新たな願望実現が焦らされた後の長いドタバタ等々)と関係がありそうだ。一度見たあとなら、次の展開が分かっているから、さほどでなくなるのだろう。

休憩後、2幕の終わりで待望の「花の庭園」が現れ、盛大かつ華やかに花のワルツが踊られる。だが、続く3幕でやっと辿り着いた「庭園」は、あのハートの女王がハートの王を尻に敷いて暴政を振るい、気に入らない部下に片っ端から「死刑」を宣している。プロローグで母が庭師のジャックを馘にしたのと同じ理不尽が、「不思議の国」の「美しい庭園」でもまかり通っていた。最後は、アリスの証言と行動ですべてチャラになる=夢から覚める、とはいえ。「庭園」は実はディストピアだった? それを経験することがアリスの成長?

いやいや。原作は軽妙な風刺やユーモアに溢れたナンセンス童話にすぎない。バレエのコミカルな動きや演技はそれに対応するだろう。だから、あくまでもエンタメとして楽しめばよい…。

だが『ノンセンス大全』の著者はこう言っている、『アリス』の地口(パン)やパロディのラディカルさが「現実への風刺をつきぬけて、もっと人間存在の暗い部分にまで届いてしまう」と(1977 高橋康也)。興味深いことに、振付のウィールドンにも同種の発言がある——「このお話には根元的で恐ろしい闇が存在していて、それが子どもを惹きつけるのだと思います。我々大人もそれを持ち続けているのです」(2013年のロイヤルバレエ来日公演プログラム/発言は2011年/舞台は未見)。

ここで想起するのは、「イモ虫」に続くシーン。イモ虫が水キセルの煙でWhere are you? How are you? Who are you? と問いかけて、アリスがソロを踊る(How are you? では姉妹と)。米沢唯の踊りは「実存的不安」の言葉をいつも想起させる(他のダンサーではなかった)。2018年の初演時からそう。地口や言葉遊びの裏に、無意味の〝深淵〟が口を開けているとすれば、それに近い何かがあの場面に込められているのか。

以下は舞台について少しだけ。

6/12(木)19:00|21(土)13:00 アリス:米沢 唯/庭師ジャック&ハートのジャック:渡邊峻郁/ルイス・キャロル&白ウサギ:奥村康祐/アリスの母&ハートの女王:木村優里/アリスの父&ハートの王:菅野英男/手品師&マッドハッター:スティーヴン・マクレー|小野寺 雄/ラジャ&イモ虫:水井駿介*/公爵夫人:小柴富久修/牧師&三月ウサギ:上中祐樹*/聖堂番&眠りネズミ:原 健太/料理女:中田実里/召使い&魚:木下嘉人/召使い&カエル:宇賀大将/アリスの姉妹たち:五月女遥 東 真帆*/執事&首切り役人:中家正博/3人の庭師:小川尚宏 山田悠貴* 小川尚宏|太田寛仁[*初役]

初日

第1幕 米沢は DRINK ME も EAT ME も少し躊躇して飲み、食べる(原作通りだ)。前はもっとそうだったか。

ソーセージを作っている台所のドタバタシーンで初めて少し体がほぐれた…

米沢は嬉しそうだが、これを4回も踊るのか。奥村白ウサギは動きが動物的で悪くないが…。魚の木下はよい。彼のウサギと米沢で組むのを見たかった。

チクタク・チクタクの時計は白ウサギのライトモチーフ、ワルツは花の庭園の動機、シンコペーションのメロディはパ・ド・ドゥの動機…

第2幕 チェシャー猫の幻想的な場。お茶会でのマッドハッターのタップダンス。マクレーは油が抜けたような感じ。煙でWhere are you? How are you? アリスのソロ、そこへ姉妹が。そして Who are you? 文字はイモ虫の煙草の煙だった。イモ虫・アラビアの踊り。水井は変な気持ち悪さを出してた(褒めてる)。イモ虫から貰ったキノコのかけらを食べると、幻覚効果で花の庭園が現出し、花のワルツを踊る(くるみのオマージュか)。そこへジャックが現れ、PDDを踊ると、ハートの女王と家来が来て、死刑! 大きな斧が降りてきて intermission…

9日目

第1幕 穴の底、始めはドアの向こうから音楽が聞こえてくる。…小さなドアが動いてきてそこに頭を入れると花の庭園が見える(客席が庭園)。花吹雪。

HSHのドタバタ後、ジャックとアリスが踊るとき、家の前でタルトの皿を持ちちょっと気まずそうに手持ち無沙汰でそれを見ている白ウサギは、キャロルの分身だとすれば、意味深長…

涙の海のあと。アリスのドレスから落ちた赤薔薇を米沢自身が拾って付けたけど、ホームスイートホームの前にまた落ちてた。魚木下が魚歩き(?)のままなんだろうって感じで拾いとりあえずしまう。ドタバタの最中に返すのは無理。終わったあと家のパネルが降りてきて、アリスが出てくると薔薇が付いてた(背後で渡したのか)。ジャックに再会したアリスは無事に薔薇を彼に渡す(?)。木下サカナはさすがの舞台人。

第2幕 チェシャー猫にどっちへ行くか尋ねても…。その後、お茶会、その後、イモ虫の問いが水キセルで問われ、ソロを踊る…米沢の踊りはいつも「実存的不安」の言葉を想起させる。他のダンサーで感じたことはない。

そのあとイモ虫からキノコのかけらを渡され、食べると幻覚からかワルツが聞こえ、さらに食べると庭が現出しワルツを踊る男女が。アリスも男女も嬉しそう。ジャックが現れ、PDDを踊るが、始めは例の音楽だがやがてワルツと重なり、皆で踊る。これは男女の恋愛PDDとは一味違う。なにか失われた幸福感のような。ちょっと心が動いた。そこへハートの女王が現れ…斧が降りてきて休憩。…

614日(土)13:00 アリス:高田茜/庭師ジャック &ハートのジャック:井澤駿/ルイス・キャロル&白ウサギ:中島瑞生/アリスの母&ハートの女王:柴山紗帆/アリスの父&ハートの王:渡邊拓朗/手品師&マッドハッター:福田圭吾/ラジャ&イモ虫:宇賀大将/公爵夫人:仲村 啓/牧師&三月ウサギ:西川慶/聖堂番&眠りネズミ:西一義/料理女:木村優子/召使い&魚:佐野和輝/召使い&カエル:石山 蓮/アリスの姉妹たち:飯野萌子 広瀬碧/執事&首切り役人:樋口 響/3人の庭師:森本亮介 長谷川諒太 上中佑樹

第1幕 冨田の指揮でオケのノリがいい。高田は元気でスポーティ、瑞生は頑張ってて高田との絡みも悪くない。井澤はアリスへの思いがよく出てる。Home Sweet Homeのハチャメチャ振りがハンパでなく、笑った。侯爵夫人の仲村の無茶振りがとてもいい。カエルの石山蓮と魚の佐野も負けじと思いっきりの踊り、料理人の木村優子の激しさも凄い!

アリス姉妹の飯野と広瀬はとてもよい。

第2幕 マッドハッター福田圭吾は少しリズムが悪い。

Where are you? How are you? Who are you? のソロよい。

イモ虫の宇賀とてもよい。動き、あり方、上背がある分も+α。高田との絡みもよい。キノコのかけら(高田は飲み物も食べ物も躊躇なく飲み食べる)を少し食べ、庭園が少し現れ、さらに食べる。花のワルツ。中家や直塚…、アリスも一緒に踊り、やがてジャックが現れPDD。何かが出てた。そこへハートの女王たちがカミテから登場し、ジャックは逃げて、白ウサギとアリスも逃げると巨大な斧が撃ち下ろされ intermission

第2幕の花(薔薇)のワルツの高田と井澤のPDDよかった。何かが出てた。高田はさすがと思わせる。タフだね。

薔薇のワルツで中家と奥村が見えた。直塚も?

第3幕 アダージョの柴山女王の相手役は小柴、奥村、渡邊峻郁、原健太だった。柴山は強度はある。ミスキャストとは思わない(この役しかないか)。

高田茜はやはり大したもの。井澤とも多少サポートに難があってもよく合わせてたし、瑞生もよく頑張った。

6/14(土)18:30 アリス:小野絢子/庭師ジャック&ハートのジャック:福岡雄大ルイス・キャロル&白ウサギ:木下嘉人/アリスの母&ハートの女王:山本涼杏/アリスの父&ハートの王:菅野英男/手品師&マッドハッター:スティーヴン・マックレー/ラジャ&イモ虫:水井駿介/公爵夫人:小柴富久修/牧師&三月ウサギ:上中佑樹/聖堂番&眠りネズミ:原健太/料理女:中田実里/召使い&魚:佐野和輝/召使い&カエル:宇賀大将/アリスの姉妹たち:五月女遥 東真帆/執事&首切り役人:中家正博/3人の庭師:山田悠貴 渡邊拓朗 太田寛

第1幕 白うさぎ木下がやはりベスト。山本母/女王は役のハラがずーんと入ってて、菅野王(夫)を尻に敷いて、サポートもしっかりさせる。すごいね。

小野は軽快でいいが、少し脆弱さも感じるか。福岡若い。ただHSHのドタバタのあと家の前のPDDで小野がちょっと回れない箇所もあった(スタミナ切れ?)。高田の後見ると、強度が少し足りないか。

第2幕 目隠ししたアリスから。マクレー今日はキレてる。初日のあの感じは初日だったからか。水キセルの文字の場。あの問いはキノコの上にいるイモ虫との対話「お前は誰だ」から作ったのだろう。それがある種、実存的な問いに見える、音楽がそう、が実際そのような振り付けではない? 水井イモ虫いいと思う、小野が小柄だから。キノコ食べて幻覚が生まれ、庭園が見えて、(ステージは最初から本の一頁でMad Tea-partyの箇所)ワルツは仲村、趙、渡邊弟、など。福岡ジャックのソロ、よい。

第3幕 裁きの場の木下ソロはストラヴィンスキーばりの変拍子。山本のソロは場を支配したまま踊れる(早く主役を踊らせろ)。福岡ソロさすが。

6/20(金)14:00 アリス:池田理沙子/庭師ジャック&ハートのジャック:速水渉悟/ルイス・キャロル&白ウサギ:李明賢/アリスの母&ハートの女王:益田裕子/アリスの父&ハートの王:渡邊拓朗/手品師&マッドハッター:福田圭吾/ラジャ&イモ虫:宇賀大将/公爵夫人:仲村 啓/牧師&三月ウサギ:西川慶/聖堂番&眠りネズミ:西一義/料理女:直塚美穂/召使い&魚:木下嘉人/召使い&カエル:石山蓮/アリスの姉妹たち:飯野萌子 広瀬碧/執事&首切り役人:樋口 醬/3人の庭師:森本亮介 長谷川諒太 上中佑樹

速水の踊りは高性能。池田はもっと強度が欲しい。内側から湧いてくる力が(第2幕の花のワルツなど)。李は踊りはきれいだが、演技は十分指導されてない? 益田は標準的。渡邊拓朗の父はリドル家の父親に見える。料理女直塚は脚がよく上がる。

3幕の速水のソロは素晴らしい! 続く池田とのPDDもよかった。

【追記】

『アリス』に詳注を付けたマーティン・ガードナーによれば、ジョン・テニエルの『不思議の国』の挿絵にはバレエの5つのポジションが全て描き込まれている。エビが1番、クラブのジャックが2番、召使いサカナが3番、同じ絵の召使いカエルが5番、そしてアリスが4番。テニエルの父親はダンス教師だったらしい。6/17ポスト(下図は The Annotated Alice: The Definitive Edition, Penguin Books 2001 より)