東京バレエ団『眠れる森の美女』2日目 2025

東京バレエ団『眠れる森の美女』2日目の秋山・大塚組を観た(4月25日 金曜 18:30/東京文化会館)。当初は月曜だけのつもりが、リハーサル+インタビューの動画を見て急遽行くことに。

音楽:ピョートル・チャイコフスキー/台本:イワン・フセヴォロシスキー、マリウス・プティパシャルル・ペローの童話に基づく)/原振付:マリウス・プティパ/新演出・振付:斎藤友佳理/ステージング・アンド・プロダクション・コンセプト:ニコライ・フョードロフ/舞台美術:エレーナ・キンクルスカヤ/衣裳デザイン:ユーリア・ベルリャーエワ/照明デザイン:喜多村貴

指揮: ベンジャミン・ポープ/演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団/協力:東京バレエ団OB・OG、東京バレエ学校

2023年に新制作された斎藤友佳理演出・振付版を見るのは初めて。月曜の永久・宮川組も見る予定だが、その前に簡単にメモする(残念ながら、失望感が強かった)。

国王フロレスタン14世:安村圭太/王妃:大坪優花/オーロラ姫:秋山 瑛/デジレ王子:大塚 卓/カタラビュット、式典長:鳥海 創/悪の精カラボス:伝田陽美/リラの精:中島映理子

- プロローグ -

[妖精たち]カンディード(優しさ):長谷川琴音/フルール・ド・ファリーヌ(やんちゃ):中沢恵理子/パンくずを落とす精(寛大):加藤くるみ/歌うカナリヤ(遊び心):工 桃子/ヴィオラント(勇気):平木菜子

- 第1幕 -

[4人の王子]フォルチュネ王子:陶山 湘/シャルマン王子:樋口祐輝/シェリ王子:岡﨑 司→南江祐生/フルール・ド・ポワ王子:本岡直也

- 第2幕 -

公爵令嬢:三雲友里加/ガリフロン、デジレ王子の家庭教師:岡﨑 司→後藤健太朗

- 第3幕 -

[宝石の精]ダイヤモンドの精:涌田美紀/サファイヤの精:中川美雪/金の精:工 桃子/銀の精:中沢恵理子/プラチナの精:井福俊太郎、二山治雄、加古貴也、山下湧吾

長靴をはいた猫と白い猫:加藤くるみ-岡崎隼也/青い鳥とフロリナ王女:長谷川琴音-池本祥真/赤ずきんと狼:瓜生遥花-山田眞央/親指小僧とその兄弟と人食い鬼:中嶋智哉&野本紗世、植村まお、川村いろは、那須井遥、林凛々花、深澤夏乃香、松岡由記

まずこの版については、なによりマイムがほぼ不在なのに衝撃を受けた。マイムは古典バレエの醍醐味のひとつだ。それがないとモダンバレエならまだしも、古典バレエを見た気がしない。ソ連時代のマイム軽視(排除傾向)は相応の政治的理由があったはずだが、いま、それをなぜ引き継ぐのか。理解に苦しむ。衣裳・美術も2年前の新制作にしては古びて見える(たとえば第3幕ディヴェルティスマンの衣裳は総じて地味すぎないか)。

マイムの不在とも関わるが、カラボスおよびその一味の動きに面白さを感じない。紡錘にまつわる話を、マイムでなく〝モノ〟で示すとは…。

秋山オーロラの踊りは軽めで、クラシカルに見えない。身体性(重み)が希薄なため(シルフィードならよさそうだが)踊りというより所作に見える。オーロラ造形も、髪型や色のせいなのか、生まれっぱなしの、少々蓮っ葉にすら見える。

カラボスの囮が出てきたのは驚いた。リラの精もマイムで語らない。が、中島リラは優美な踊りで目に付いた(もっと伸びやかでもよいが)。コンマスのソロは好かった。

大塚は王子の造形として悪くないが、やはり踊りが少々軽い。

狩りの場は、王子の動きの意味が不明の点もあった(ユーモアを交えて王子の憂鬱を描くイーグリング版を見慣れた目にはさほど感興が湧かず)。

幻影の場。心が動かない。チェロの朗々たる響きが印象的。

目覚めの場。両親を起こすのはオーロラ。あっさりしたパ・ド・ドゥはよいと思う。ヴァイオリンソロはこの場も好かった。

第3幕。ディヴェルティスマンはあまり面白くない。衣裳が古くさい。青い鳥とフロリナ王女はまずまず。

パ・ド・ドゥは心が動かない。やはり両人とも踊りが軽い。ヴァリエーションも同じ。王子のヴァリは簡略すぎないか。もっと重みがほしい。両人主演のクランコ版『ロミ&ジュリ』は好いと思ったが…。

ベンジャミン・ポープ指揮の東京シティフィルは、ヴァイオリン、チェロ等のソロが好かった。総じて初台のピット陣より真面目に演奏している。ただ今回、特に弦楽の響きがいまひとつ纏まっていない印象を受けた。

近年、久し振りに東バの公演をいくつか見てきた。総じて、ダンサーたちは若く、容姿が整っているように見える。一方、(クラシカルな)踊りの強度が足りない印象で、そのためか、舞台芸術として奥行き感が乏しい。クランコやベジャールはとても好かったが、古典(プティパ)になると物足りない印象を受けた。

主役が変わればこうした印象は変化するかもしれないが。