〈コンポージアム Composium 2019〉武満徹作曲賞本選演奏会

コロナの影響で昨年5月31日から延期になっていた〈Composium 2020〉を聴いてきた(2021年1月19日 18:30/東京オペラシティコンサートホール:タケミツ メモリアル) 。これについてはいずれメモしたいが、そのまえに、前年の感想をどこかに書いたはずだがブログには見当たらない。調べたらツイートしてた。以下にこれをそのまま貼り付けたい。

〈Composium 2019〉武満徹作曲賞本選演奏会に行ってきた(6月9日 15:00 東京オペラシティコンサートホール:タケミツ メモリアル)。面白かった。今回の審査員はフィリップ・マヌリ Philippe Manoury。応募総数83作からマヌリが選んだ4作品(いずれも15分前後)を聴いたわけだが、3作が中国人で1人はアルゼンチン人。中国人の三作はいずれもスケールが大きく、独りよがりでない。

最も気に入ったのはシキ・ゲン Shigi Geng(24)の《地平線からのレゾナンス Resonanz vom Horisont for Orchestra。弦楽を主体とした音楽は心地よく、後半で遥かに響くレゾナンス(記憶)はリリカル。もう一度聞きたいと思った。

ツォーシェン・ジン Zhuosheng Jin(28)の《雪路の果てに At the End Of Snow Line For full Orchestraは「故郷三部曲」の第一部らしい。響きに厚みがあり、技巧的な面も窺える。政治(思想)的な感触もあったか。

スチ・リュウSiqi Liu(28/女性)の《三日三晩、魚の腹の中に Im des Fisches drei Tage und drei Nächte für Orchesterは旧約の『ヨナ書』が題材でブラスが咆哮するドラマティックな作品。

パブロ・ルビーノ・リンドナー Pablo Rubino Lindner(33)の《Entelequias for orchestraは弦のモコモコ感は面白いが、集中して聞きにくい印象。力量はあるのだろうが、お金を払って聞きたいとは思わない。

審査結果は、ゲンとリンドナーが1位、2位がリュウで3位がジン。マヌリは総評で匿名での審査について言及した。4作のうち2作がドイツ語のタイトル、他は英語とスペイン語。が、開けてみたら3人が中国人で驚いたと。受賞スピーチは英語だが、ゲンだけ日本語だった。

ゲンは当初 武満徹に影響され、日本文化への興味から日本語の勉強を続けていると。この作曲家は、作品からも、真率で真っすぐ取り組んでいると感じさせる。

日本人の応募は国別では最多の16人。だがマヌリの三つの基準では誰も残れなかった。なぜだろう。たまたまなのか。

阿部加奈子指揮の東フィルは、ファイナリストが異口同音に感謝した通り、質の高い演奏だった。ただ指揮者の特にカーテンコール時のステージマナーは改善の余地がある。表彰式のややぎごちない進行(通訳の囁くような発語等)も。