会員が招待される「特典コンサート」を今年も聴いてきた(3月18日 19:00/すみだトリフォニーホール)。
昨年は音楽監督の上岡敏之によるピアノソロだったが、今回は若手団員と上岡との室内楽。客席はかなり埋まっていた。以下ごく簡単にメモする。
グリエール:プレリュードとスケルツォ op.32(1908)
プログラムに楽曲の説明は一切ない(無料だから仕方ない)が、グリエール(1875-1956)はキエフ生まれの作曲家らしい。弦バスのふくよかな音色が心地よい。奏者はかなり若そうでこれから楽しみ。カーテンコールで大きな楽器を持ったまま出入りするのは大変そう。
ここで、コントラバスの伴奏時は閉じていたピアノの屋根が開けられる。なるほど、クラリネットは弦バスと比べ、かなり大きな音がする。奏者の技術はたしかだが、途中で少し睡魔が。
ペレスのクラリネットは圧倒的。この曲をどう演奏したいか明確なヴィジョンを持っている。上岡のピアノにただ合わせるというより、拮抗し、ときにはけしかけることも厭わない。なぜなら、そういう対話こそ音楽創りに欠かせないから。そういわんばかりだった。結果、きわめて強度の高い音楽芸術が現出した。ペレスの〝気〟は半端ではない。ソロイストの力量と風格を感じた。(彼はスペイン人だったのか。たしか2012年に亡くなったオーボエ奏者のホアン=マヌエル・ルンブレラスもそうだった。)
ここで20分休憩。
J.ダドウル:スノーブラインド
パーカッション:腰野真那 ピアノ:上岡敏之
作曲者は1972生まれのイギリス人。Duddellの表記はあれでよいのか(ダドゥル/ダッデル?)。コリン・カリー(以前ライヒのコンサートで聴いた)のために作曲され2002年初演。弦楽オケのパートを今回はピアノで。本来は「雪盲」のタイトル通り目がくらむような音響やリズムを楽しむ曲か。が、若い奏者の律動感やメリハリは少し甘め。パーカッションは、もっとダンサーのような身体性と〝気〟があってもよい。
奏者をあえて主席でなく、若い副主席や団員から選んでいた。彼女/彼らにこうした機会を与えるのは動機付けを高めるうえで重要ですね。来年も楽しみにしています。