6月4日付け「本ブログの“引用”について」で記した一件が、本日、いちおう決着した。
一月前のあの時点では「似た書き方をする」とか「本ブログと同じ文言が頻出した」とか、かなり紳士的な表現を使っていた。だが、次第に腹立たしくなり、両者を子細に読み比べてみた。要するに、6月4日付け日経新聞夕刊掲載のO氏による新国立劇場《カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師》評に、当方と「同じ文言」を一字一句マーカーで塗りつぶしたのだ。すると、54行に亘るレビューのうち、36行がピンク色に染まった。セット(わざわざ「装置」と言い換えているが)の描写はほぼ同一だし、歌手への言及の順序などもまったく同じ。ピンク色を免れた部分にはこちらの表現をパラフレーズした箇所もある。明らかに盗用だ。このまま放置すれば、本ブログの知的所有権(著作権)が侵害されたままになる。そこで新聞社(読者センター)に電話した。編集部より折り返し連絡が入り、その後二度の面談を経て、やっと本日の夕刊に「おわび」が掲載されたというわけだ。面談前は、盗用の認識を新聞社と共有できるものと楽観していた。彼らもある意味で被害者だと考えていたから。だが、本人が否認していたからか(海外出張中で電話での応答だったらしい)、掲載紙側から「似ている」との言葉しか聞けなかったのには失望した。その後、気持ちの悪い日々を過ごさざるえなかったのはこのためだ。やがて本人が認め、さらに他にも同様の事実が出てきたため、決着を加速させたのだと思う(音楽之友社の一件がなかったらどうだったのか)。
ところで「おわび」欄には「無断で引用していたことが分かり」「当該記事を取り消」すとある。だが、「引用」の語には違和感を覚える。果たしてあれを「引用」といえるのか。量的に主従の関係を大幅に逸脱しているし、引用符もなければ、出典の明示もない。そもそも、盗用が発覚した直後、当ブログにこう記したのだった。「本ブログの文章や内容を引用されるのは無断でもいっこうに構いませんが、その際は必ず出典を明記するようお願いいたします」と。だが、「著作権の侵害」や「盗用」などの表現を使うには法的な手続きが必要で、さらに時間がかかってしまうのだとか。新聞社としてはこれが限界なのだろう。