新日本フィル #526 トリフォニー定演/ハーディング All Brahms Vol. 2

新日本フィルの第526回 定期演奏会を聴いた(6月20日 19:15/すみだトリフォニーホール)。
明日はサントリーでAll Brahms Vol. 3を聴くので、その前に簡単なメモを。

ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 77
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト

すごくひきしまった演奏。筋肉質の音楽。このホールは、サントリーホールより残響が長い。その分、ハーディング本来の室内楽的な感触は薄れ、熱を帯びやすい。だが、ファウストもハーディングもぐっと抑え、けっしてパトスに身を任せて乱雑になることはない。結果、内からじわっと熱が発するようなクオリティの高いブラームスとなった。アンコールで弾いたバッハの無伴奏パルティータ第2番よりサラバンドは、秀逸。自分で音を出しながら(当たり前だが)、その出てきた音と対話し、そこからまたあらたに次の音を紡いでいく。この連続だ。圧倒的な臨場感。

交響曲第4番 ホ短調 op. 98

何度聴いても驚くべき出だし。ハーディングは、前曲とは打って変わり、その悲劇的な曲想をむしろ積極的に引き出していく。彼にしてはめずらしく感情を表に出すこともしばしば。トランペットのミスがあったが、全体的に悪くない。2楽章の断続的な休止も面白い。3楽章のAllegro giocosoを駆け抜けると、さほど間を取らず終楽章へ。このパッサカリアは聴き応えがある。トロンボーンのコラール。ホルン。そしてフルートのソロ(荒川洋)が次第にフレーズを下降させてく。フルートの低音にたまらない色気があることを初めて知ったのはこの箇所。この夜もゾクッとした。ラストは、もっと客席の沈黙が欲しかったが。コンサートマスターは崔文洙。