ジャン=ギアン・ケラスの J. S. バッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏会/生について深々と内省させるコンサート

ジャン=ギアン・ケラスの J. S. バッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏会を聴いた(11月16日 14時/東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル)。ごく簡単にメモする。

無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV1007 

脱力した地点から少しずつ音楽が流れ始める。余計なものが微塵もない。とても自然。

無伴奏チェロ組曲第4番 変ホ長調 BWV1010

自然ななかにも動きが入り始める。Prelude は即興のような趣きも。Sarabande では感情が動き、グッときた。
15分休憩

無伴奏チェロ組曲第3番 ハ長調 BWV1009

より開放的に。

無伴奏チェロ組曲第5番 ハ短調 BWV1011 

ぐっと引き締まった、悲劇的な趣き。Prelude は華麗だが憂いも。Allemande では聴く者の人生を内省させる。Sarabande は消えいる生の最後の局面のよう。Gigue は突然、ボソッと終わる。
15分休憩

無伴奏チェロ組曲第2番 ニ短調 BWV1008

途中で咳が出そうになるが、なんとか堪えた(この日は比較的暖かだったが、ホール内は送風で寒く感じ、咳をする人が少なくなかった。寒いとくしゃみをしたり咳き込む人が増える。結果、ノイズが多くなる。静寂を保つには快適な室温が条件)。

無伴奏チェロ組曲第6番 ニ長調 BWV1012 


Allemande は生を内省させるが、「それでよい、あるがままでよい」といわれているような。Gavotte 1, 2 は祝祭的、あるいは生の肯定。
アンコールはクルタークの『影』。とても短い曲。
最後に、ケラスは日本語で「ライシュウ、マタ、アイマショウ」といって袖へ引っ込んだ。客席からは笑いも。22日(金)の「ブリテン生誕100年バースデー・コンサート」でまた会うことになる。
このホールは音響がとてもよい。1階11列目で聴いたのだが、かなり豊かな音量感。休憩時に増幅していないか確かめたほど。
ジャン=ギアン・ケラスのチェロは、虚飾がなくとても自然。ピリオド楽器を使用しているわけではないが、ヴィブラートは必要最小限に抑えられている。結果、〝添加物〟を含まない、その場で生み出されたような音楽が現出した。元々バッハの平均律クラヴィーア曲集無伴奏チェロ組曲集は聴く者を内面に向かわせる瞑想的な音楽だ。ケラスの演奏も、生について深々と内省させてくれる。充実したコンサートだった。