NHKバレエの饗宴2013/簡単なメモ

NHKバレエの饗宴2013」を観た(3月16日/NHKホール)。
昨年からの企画のようだが、テレビで一部見ただけ。前回の新国立劇場バレエ団、谷桃子バレエ団、牧阿佐美バレヱ団、Noism1から今回は出演団体が入れ代わった。ただし、なぜか東京バレエ団だけは昨年に引き続き再出演。個人として吉田都が連続登場するのは十分納得できるのだが・・・。
以下、ごくごく簡単にメモしたい。

小林紀子バレエ・シアター
演目:『コンチェルト』
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲第2番ヘ長調
演奏:菊池洋子(ピアノ)
出演:島添亮子 他
指揮:大井剛史
管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団

やはり島添亮子は別格だ。抑制された色気がある。他では上月佑馬が眼に付いた。様式性があるし踊りがゲストのストリータよりもしっかりしている。そのジェームズ・ストリータ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ団)は島添のサポート要員らしい。日本(このカンパニー)には居ないのか。菊池洋子のピアノは特に緩徐楽章で聴き応えがあった。
(ところで、配付プログラムを見ると、ゲストダンサーのストリータにはカッコ書きで所属が記されている。一方、上月佑馬にはそれがない為てっきり「小林紀子バレエ・シアター」の団員かと思った。が、知人に聞くとやはりゲストだという。あとで調べてみたら萩ゆうこバレエスタジオの講師とある。なぜ外国人のゲストにだけ所属を明記し、日本人の場合はそうしないのか。これでは、上月が小林に所属しているかのように誤解してしまう。)

橋本清香(ウィーン国立バレエ団ソリスト)&木本全優(ウィーン国立バレエ団準ソリスト
演目:『ドニゼッティ・パ・ド・ドゥ』
振付:マニュエル・ルグリ
音楽:ドニゼッティ「ラ・ファヴォリータ」から
指揮:大井剛史
管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団

木本全優は難しい技巧をそうと感じさせないで踊る。つねに気品を失わない。体型にも恵まれている。橋本清香にもいえるが、共に技術を超えたなにかを出そうとしているように見えた。ルグリの指導がよい?

東京バレエ団
演目:『春の祭典
振付:モーリス・ベジャール
音楽:ストラヴィンスキー
出演:宮本祐宜、吉岡美佳 他
指揮:大井剛史
管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団

全体的に小さくまとまっているように見える。特に男性の群舞。踊りというよりマスゲームのよう。音楽に見合ったきな臭さがさほど感じられない。面白い作品だと思うが、少し古さも感じた。

吉田都(元英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)&ロバート・テューズリー(元英国ロイヤル・バレエ団/ニューヨーク・シティ・バレエプリンシパル
演目:『ラプソディ』からパ・ド・ドゥ
振付:フィレデリック・アシュトン
音楽:ラフマニノフパガニーニの主題によるラプソディ」から
演奏:菊池洋子(ピアノ)
指揮:大井剛史
管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団

すばらしい。吉田は可憐さ、愛くるしさを踊りとして見事に現出させ、それをテューズリーが華やかにかつ大きく包み込む。二人ともさすがである。ただ、あまりにも短い。もっと見たかった。菊池のピアノも甘さ、華やかさがよく出ていた。

東京シティ・バレエ団
演目:『コッペリア』第3幕
演出振付:石井清子
音楽:ドリーブ
出演:志賀育恵、キム・セジョン 他
指揮:大井剛史
管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団 

「戦いの踊り」のチョ・ミンヨンは力強い踊り。「平和の踊り」の志賀育恵は快活。キム・セジョンは姿形がよくラインも美しいが、ヴァリエーションでは、踊りとしてのフレージングに難があり、惜しい。大井の指揮で東フィルはドリーブの情感を響かせた。

中村祥子ベルリン国立バレエ団プリンシパル)&ヴィスラウ・デュデック(ベルリン国立バレエ団プリンシパル
演目:『白鳥の湖』から「黒鳥のパ・ド・ドゥ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:チャイコフスキー
指揮:大井剛史
管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団

中村の踊りは豪快だが、〝豪(剛)〟が勝ちすぎる。特に上半身のかたちが本来のフォルムのツボから逸れていないか。黒鳥といえどもヴァリエーションなどではもっと繊細さや柔軟さがほしい。デュデックの方は、四肢はすらりとしているが、姿勢が悪くクラシックのかたちに見えなかった。
大井剛史が指揮する東京フィルハーモニー交響楽団は総じてよかったと思う。
テレビ放映されるため、東京周辺以外の人も見ることができ、さらに後世に記録として残る。本企画の意味はその辺だろうか。