演劇

青年団第80回公演『ソウル市民』『ソウル市民1919』 歌の力

『ソウル市民』『ソウル市民1919』をそれぞれ同日のマチネとソワレで観た(10月20日 14:30, 18:00/こまばアゴラ劇場)。 『ソウル市民』(初演 1989年)はフレデリック・フィスバック演出を見たのみで(2005年12月/シアタートラム)、『ソウル市民1919』(…

俳優座劇場『十二人の怒れる男たち』ファイナルステージ 2018

昨日『十二人の怒れる男たち』を俳優座劇場で見てきた(9月8日 14:00/俳優座劇場)。演出:西川信廣、翻訳:酒井洋子。 このプロダクションを見るのはたしか四回目だが(昨年の公演)、今回で「一旦区切りのファイナルステージ」となるらしい(プログラム/…

青年団第79回公演『日本文学盛衰史』/質の高い知的エンターテインメント

平田オリザの新作『日本文学盛衰史』の初日と中日を観た(6月7日,22日 19:30/吉祥寺シアター)。 原作者の高橋源一郎は前に朝日の論壇時評を楽しみに読んでいたが、小説はまったく未読。公演の数日前に小説『日本文学盛衰史』(2001)をあわてて読み始めた…

iaku 演劇作品集1/関西弁の対話劇

横山卓也の作品を初めて観た(5月19日 15:00, 19:00, 26日 15:00, 19:00/こまばアゴラ劇場)。関西弁による対話劇は思いのほか質が高く、演劇特有の喜びも味わえた。これもアゴラ劇場の支援会員になったお陰。見た順にメモを記す。まずは19日の2作品から。…

こまばアゴラ演出家コンクール 二次審査 2018

一次審査(金曜)の二日後(日曜)二次審査も見てきた(5月13日 14:00-18:30/こまばアゴラ劇場)。 審査員平田オリザ(こまばアゴラ劇場芸術総監督・劇作家・演出家) 岩井秀人(劇作家・演出家・俳優) 佐々木敦(批評家) 松田正隆(劇作家・演出家) 柳…

こまばアゴラ演出家コンクール 一次審査 2018

劇場支援会員限定公演「こまばアゴラ演出家コンクール」の一次審査を観た(5月11日 17:30-21:00/こまばアゴラ劇場)。今年度初めて支援会員になったのはこれが目当てだった。 実行委員会によれば、100名を越える応募者から二段階の書類(資料・映像等)審査…

詩森ろば『おとうふコーヒー』劇団銅鑼公演 2018

劇団銅鑼の『おとうふコーヒー』を観た(3月13日 14:00/東京芸術劇場シアターイースト)。 詩森ろばの作品を見たのは二年前の『残花――1945 さくら隊 園井恵子』が初めてで、強く印象づけられた。今回はどうか。簡単にメモする。 美術:田中敏恵 照明:杉本…

『フェルメールと風俗画の巨匠たち――鼓舞と対抗』@ダブリン 2017/画家の創意と劇作術

2017年8月15日(火)15:40 Vermeer and the Masters of Genre Painting: Inspiration and Rivalry@National Gallery of Irland, Dublin 昨年の8月初旬から約一ヶ月間アイルランドのダブリンへ出張。中心街を歩いていると、偶然フェルメール展のフラッグが目…

パルコ・プロデュース2018『アンチゴーヌ』/圧倒的な舞台

アヌイの『アンチゴーヌ』を観た(1月14日 13:00/新国立小劇場)。 近年稀に見る圧倒的な舞台。出演者の演技はみな質が高く、特にアンチゴーヌの蒼井優は歴史に残る名演を見せた。 栗山民也は新国立劇場の研修所長時代に修了公演で本作を上演している(2015…

8月のフィールドワーク@ダブリン 2017【写真追加】

今年は8月6日(日)から約一ヶ月間アイルランドのダブリンに出張した。時間的には比較的恵まれ、許される範囲で当地の劇場文化をフィールドワークした。ただ8月はシーズンオフでめぼしい公演はあまりない。ロンドンへ行けば話は別だが「業務」上、ダブリンを…

新国立劇場 演劇『プライムたちの夜』/置き去りにされたペンギンたち/平田オリザ、カレル・チャペック

開場20周年記念公演『プライムたちの夜』三日目のソワレを観た(11月9日 19:00/新国立小劇場)。面白かった。演劇誌に台本が掲載されているかと思ったら、残念ながらその予定はないという。 アンドロイドが登場する(平田演劇のように本物ではないが)設定…

チェルフィッチュ『部屋に流れる時間の旅』東京公演 2017

チェルフィッチュの『部屋に流れる時間の旅』を観た(6月18日 14:00/シアタートラム)。 フライヤーによれば、2016年3月に京都で初演。その後、世界16都市を巡り、今回の東京公演を迎えたとのこと。見たのは三日目のマチネー。期待を裏切らぬ舞台。もっとま…

俳優座プロデュースNo.102『十二人の怒れる男たち』2017【追記】+脚注

『十二人の怒れる男たち』の三日目を観た(5月19日 19:00/俳優座劇場)。 このプロダクションで見るのは三回目か。初めは2011年。このときは#8のセリフが何度も止まりハラハラした記憶が。二回目は2015年。見る側の状況(体調等々)もあるが、あまりしっ…

劇団銅鑼 創立45周年記念公演 第1弾『彼の町――チェーホフ短編集より』

『彼の町』の初日を観た(3月15日 19:00/俳優座劇場)。 団友の鈴木瑞穂が演出の大谷賢治郎に「いつかチェーホフの短編集をやってみないか」と誘ったのがきっかけらしい。 作:青木 豪 演出:大谷賢治郎 cast 鈴木瑞穂(オフィス・ODA/団友) 館野元彦 三…

『お勢登場』片桐はいり・黒木華出演

『お勢登場』を観た(2月21日 14:00/シアタートラム)。 作・演出は倉持裕。江戸川乱歩(1894-1965)の八つの短編小説を再構成した作品。乱歩作品はテレビ・ドラマ等を見るのみで、原作はまったく読んだことがない。倉持の舞台を見るのは現代能楽集VII『花…

異文化コラボ/平田オリザ+盗火劇団『台北ノート』とケルティック能『鷹姫』

異なる文化に属するアーティストたちのコラボ。たまたま連続して見たので、併せてメモする。 まずは日本と台湾のコラボ作品『台北ノート』の初日から(2月15日 20:00/横浜美術館 グランドギャラリー)。 国際舞台芸術ミーティング in 横浜 2017 TPAMディレ…

劇団銅鑼『短編集』岸田國士・T.ウィリアムズ・小関直人「五感で楽しむ演劇」【訂正あり】

劇団銅鑼公演ドラマファクトリー vol. 10『短編集——3つの短編を彩る』の初日を観た(8月25日 17:00/銅鑼アトリエ)。 岸田國士の「温室の前」とテネシー・ウィリアムズの「ロング・グッドバイ」に小関直人の新作「僕を待つ部屋」を加えた三編。これらを連…

新国立劇場 演劇『焼肉ドラゴン』2016

『焼肉ドラゴン』再演の五日目を観た(3月11日 18:30/新国立小劇場)。 本作の初演は2008年4月。舞台に圧倒され、帰りにチケットを取り一週間後に再度見た。11年2月に再演したときは常連客の呉信吉役のみ新キャスト(体調不良のため)であとは全員同じ配役…

パリ市立劇場『犀』

パリ市立劇場によるイヨネスコの『犀』を観た(11月22日 15:00/彩の国さいたま芸術劇場 大ホール)。パリ同時多発テロから約一週間後の来日公演だった。 これまた二ヶ月以上経ってしまったが、やはり直後の走り書きから簡単にメモを残したい。 作:ウジェー…

F/T15 飴屋法水『ブルーシート』

『ブルーシート』を観た(11月14日 14:30/豊島区 旧第十中学校 グラウンド)。 東日本大震災・原発事故、福島の高校生の被災体験を扱った演劇。本作は、2013年1月、福島県立いわき総合高等学校 総合学科 芸術・表現系列(演劇)第10期生アトリエ公演として…

新国立劇場 演劇研修所 第9期生修了公演『噛みついた娘』

「ニューイヤー・バレエ」の初日を見る前に、三好十郎の『噛みついた娘』を観た(1月9日 14:00/新国立劇場小劇場)。簡単にメモする。 作:三好十郎(1902-58) 演出:栗山民也(演劇研修所長) 美術:伊藤雅子 照明:田中弘子 音響:福澤裕之 衣裳:成田有…

F/T15 岡田利規 作・演出 『God Bless Baseball』

『God Bless Baseball』を観た(11月26日 15:00/あうるすぽっと)。 もう一ヶ月近く経ってしまったが、記録としてメモしておく。 作・演出:岡田利規 翻訳:イ・ホンイ 出演:イ・ユンジェ、捩子ぴじん、ウィ・ソンヒ、野津あおい 舞台美術:高嶺 格 衣裳 …

平田オリザ・演劇展vol.5/《海、静かな海》を日本で観たい【追記】

平田オリザ・演劇展vol.5を観た(11月7日 13:00 15:30 18:00,8日 15:30 18:00/こまばアゴラ劇場)。 作・演出:平田オリザ 舞台監督:中西隆雄 舞台美術:杉山 至 照明:西本 彩 衣裳:有賀千鶴、正金 彩 フライヤーデザイン:京 (kyo.designworks) 制作:…

カリノスキー『月の獣』(Beast on the Moon)

下書き欄に書きかけがたいぶ溜まってしまった。バレエ『ホフマン物語』を早くアップしたいが、その前に先月観た演劇のメモからとりあえず。 『月の獣』を観た(10月11日 14:00/俳優座劇場)。 オスマン帝国(トルコ)のアルメニア人虐殺が物語の背景にある…

文学座9月アトリエの会 別役実『あの子はだあれ、だれでしょね――尼崎連続変死事件より』

別役実の新作『あの子はだあれ、だれでしょね』の初日を観た(9月16日 19:00/文学座アトリエ)。ごく簡単にメモする。素材の事件がまだ生々しいせいか、さほど抽象度は高くない。ゆえに、「不条理」感よりも、ベタな、とまではいかないが、恐怖や不気味さが…

別役実『はるなつあきふゆ』(劇団銅鑼)/“バッハのオペラ”から考える

9月26日(土)オペラシティでBCJの#114定演を聴いた。今回は世俗カンタータ・シリーズのVol. 6で演出付き「農民カンタータ」がメイン。少し早めにホール入り口へ到着しプログラムを入手。開場を待ちながら鈴木雅明氏の「巻頭言」を立ったまま読む。これがい…

平田オリザ『冒険王』/+ソン・ギウン『新・冒険王』(新作)

『冒険王』と新作の『新・冒険王』を観た(6月25日 15:00 19:30/吉祥寺シアター)。前日に文学座公演『明治の柩』の楽日を観たため、いろいろ考えさせられた。平田オリザが『明治の柩』を文学座の役者で演出したらどうなるか。見てみたい。そう思った。あり…

文学座公演 『明治の柩』中日の印象

『明治の柩』を観た(6月18日 18:30/あうるすぽっと)。全14公演で初日は11日だからほぼ中日。 本作はぶどうの会から〝鉱毒事件と田中正造〟の主題で執筆依頼された宮田研が戯曲化し、竹内敏晴の演出で1962年に初演された。竹内の著作をあれこれ読み漁って…

平田オリザ作・演出 アンドロイド版『変身』早稲田小劇場どらま館

7ヶ月ぶりに平田オリザのアンドロイド版『変身』を観た(5月9日 15:00/早稲田小劇場どらま館)。 昨秋、城崎国際アートセンターで稽古を重ねKAATで初演された本作は、ハンガリーとフランスでの公演を経て戻ってきた。再建された「早稲田小劇場どらま館」の…

映画『幕が上がる』

映画『幕が上がる』を見た(3月12日 12:15/イオンシネマ板橋)。 平田オリザが原作者でなければたぶん見なかったと思う。そもそも〝ももクロ〟についてつい最近まで何も知らなかった。小説版は二年ほど前、若い知人に教えられ、面白く読んだ。 ふだん映画は…