バレエ

新国立劇場バレエ『白鳥の湖』2014/三日目/バレエの照明

遅まきながら『白鳥の湖』三日目のメモを簡単に(2月21日 19時/新国立劇場オペラハウス)。 堀口純は姿形は白鳥らしいが、いかにも不安定で特に脚が心許ない。その懸念は残念ながら第三幕で現実化した。アダージョでは、黒鳥オデットの強さをなんとか表現し…

2013年12月〜2月感想メモ/BCJ『レクイエム』/新国立バレエ『くるみ割り人形』+厚木公演/日本バレエ協会『アンナ・カレーニナ』/新国立オペラ『カルメン』『蝶々夫人』/新日本フィル#105定演/現代能楽集VII「花子について」/ARCHITANZ 2014

そういうわけでたまった舞台の感想をまとめて簡単にメモする。 BCJ #105定演 モーツァルト『レクイエム』鈴木優人 補筆校訂(12月9日 19時/東京オペラシティ コンサートホール) 2006年モーツァルト・イヤーではアーノンクール指揮のウィーン・コンツェント…

アメリカン・バレエ・シアター『マノン』2014 全3キャスト(2)ケント&ボッレ組/セミオノワ&スターンズ組

二つのキャストについて簡単にメモする。 ジュリー・ケント&ロベルト・ボッレ組(2月28日 18:30/東京文化会館)。 前ブログに書いたとおり、間違えて買ったチケットだが、見ることができてよかった。 ボッレのデ・グリューを見たのは、ロイヤルバレエ来日…

アメリカン・バレエ・シアター『マノン』2014 全3キャスト(1)/全身全霊を込めたヴィシニョーワのマノン

2月28日(金)13:00/18:30/3月1日(土)13:00と全3キャストを観た(東京文化会館)。 『マノン』はいつも全キャストを見てしまう。新国立(2003年/2012年)はいうまでもなく、2005年ロイヤル・バレエの来日公演も4キャストすべてを見た(あの頃は惜しげ…

アメリカン・バレエ・シアター『くるみ割り人形』【訂正】

ABTの『くるみ割り人形』を「ジャパン・アーツ夢倶楽部公演招待」で見せてもらった。(2月21日 13時/BUNKAMURA オーチャードホール)。 [世界初演:2010年12月23日、ニューヨーク、ブルックリン音楽アカデミーのハワード・ギルマン・オペラハウスにて(主…

アメリカン・バレエ・シアター「オール・スター・ガラ」Aプロ/オール・スター?

ABTの「オール・スター・ガラ」Aプロを観た(2月25日 18:30/BUNKAMURA オーチャードホール)。 座席は3F左バルコニー後方。2・3階は空席がかなり目立つ。1階にキャロライン・ケネディ駐日米国大使の姿が見えた。 ごく簡単にメモする。 《テーマとヴァ…

新国立劇場バレエ団 大原永子次期芸術監督による新シーズン説明会

初日公演の後、次期芸術監督の大原永子(のりこ)氏による新シーズン演目説明会があった(2月15日 17:00-17:50/新国立劇場オペラハウス)。 途中で何度も席を立ちかけたが、思いとどまった。最後まで見届けるためだ。 この人はいったい誰に話しているのか。…

新国立劇場バレエ『白鳥の湖』2014/二日目/米沢唯という表現者

二日目について(2月16日 14時/新国立劇場オペラハウス)。 前回の『白鳥』では米沢唯のオデット/オディールを見て驚嘆し、ブログにも書いた(http://d.hatena.ne.jp/mousike/20120515/1337087553)。2012年5月だがからもう二年近くも前になる。彼女にとっ…

新国立劇場バレエ『白鳥の湖』2014/初日

『白鳥の湖』の初日と二日目を観た(2月15日 14時・16日 14時/新国立劇場オペラハウス)。 まずは初日から。 福岡雄大のジークフリート王子はこれまでとは違う感触。できる限り王子らしく振る舞おうとの意図がさらによく見える。一幕のソロや三幕のヴァリエ…

新国立劇場バレエ「DANCE to the Future 〜Second Steps 〜」/ダンサーたちに生きる糧を与える企画

新国立劇場バレエ団による「DANCE to the Future 〜Second Steps 〜」の初日を観た(12月7日 14時/新国立小劇場)。 バレエ団ダンサーたちの振付による「新しいダンス作品集」。たいへん面白かった。 監修・芸術監督:デヴィッド・ビントレー 照明:鈴木武…

新国立劇場バレエ「バレエ・リュス ストラヴィンスキー・イブニング」/色彩感あふれる『火の鳥』/じつに面白い『アポロ』/前近代的な味わいの『結婚』

新国立劇場バレエのオープニングを飾るトリプルビル「バレエ・リュス ストラヴィンスキー・イブニング――火の鳥/アポロ/結婚」の初日と二日目を観た(11月13日・15日 19時/新国立劇場オペラハウス)。 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971) 指…

小林紀子バレエ・シアター『マノン』2013

2011年に引き続き小林紀子バレエ・シアターが上演した『マノン』の初日を観た(8月24日 17時/新国立劇場オペラハウス)。 二年まえ島添亮子(あきこ)の相手はロバート・テューズリーだったが、今回は英国ロイヤル・バレエでプリンシパルを務めるエドワード…

バレエ・アステラス☆2013

「バレエ・アステラス☆2013〜海外で活躍する日本人バレエダンサーを迎えて〜」を観た(7月21日 13時/新国立オペラ劇場)。 ごく簡単にメモする。 バレエ・アステラス選考委員会・選考委員 安達悦子(東京シティ・バレエ団理事長) 岡本佳津子(公益財団法人井…

英国ロイヤル・バレエ団<ロイヤル・ガラ>

昨日、英国ロイヤル・バレエ団<ロイヤル・ガラ>を観た(7月10日 18:30/東京文化会館)。 ごくごく簡単にメモする。 【第一部】 「ラ・ヴァルス」 振付:フレデリック・アシュトン/音楽:モーリス・ラヴェル 小林ひかる、平野亮一、 ヘレン・クロウフォー…

新国立劇場バレエ『ドン・キホーテ』全4キャスト/感慨深い公演/熱と温もりと送別

金曜日(7月5日)は新日本フィルの定演だった。錦糸町のトリフォニーホールへ出かけるついでに、会期があと三日に迫った『夏目漱石の美術世界展』目当てに上野へ立ち寄った。会場の東京藝大美術館はかなりの混みよう。蒸し暑いうえにあの人混みでは、絵に付…

新国立劇場バレエ『ペンギン・カフェ 2013』

ブログを始めて13ヶ月。記事数は80篇。けっこう書いたものだ。対象とする舞台芸術のジャンルが複数に亘るため、このさい演劇・オペラ・バレエ・ダンス・コンサートの五つのカテゴリーに整理してみた。今後は劇場文化を考えるうえで参考となる本についてもメ…

NHKバレエの饗宴2013/簡単なメモ

「NHKバレエの饗宴2013」を観た(3月16日/NHKホール)。 昨年からの企画のようだが、テレビで一部見ただけ。前回の新国立劇場バレエ団、谷桃子バレエ団、牧阿佐美バレヱ団、Noism1から今回は出演団体が入れ代わった。ただし、なぜか東京バレエ団だけは昨年…

新国立劇場バレエ『ジゼル』(2)ジゼルが狂乱した理由/死者を生きた米沢唯/幽玄美

新国立劇場バレエ『ジゼル』の三キャスト目を観た(2月23日)。 音楽:アドルフ・アダン 振付:ジャン・コラリ/ジュール・ペロー/マリウス・プティパ 改訂振付:コンスタンチン・セルゲーエフ 美術:ヴャチェスラフ・オークネフ 照明:沢田祐二 指揮:井田…

新国立劇場バレエ『ジゼル』(1)初日はドラマティック/二日目はロマンティック

新国立劇場バレエの『ジゼル』を二つのキャストで観た(2月17日/2月20日)。土曜日には三つ目のキャストを観る予定だが、とりあえず二回の公演についてメモする。 音楽:アドルフ・アダン 振付:ジャン・コラリ/ジュール・ペロー/マリウス・プティパ 改訂…

新国立劇場バレエ『ダイナミック ダンス! Bintley's Choice』ビントレーの絶妙なチョイス/サープが仕掛けた疑似ペンテコステ

『タンホイザー』初日の翌日から二夜連続で新国立劇場バレエ『ダイナミック ダンス! Bintley's Choice』を観た(1月24日・25日/新国立中劇場)。二つのキャストを見比べるとダンサー達の個性がよく分かりとても興味深い。ただ、残念ながら平日のため…

新国立劇場バレエ『シンデレラ』全3キャスト/清新に蘇った振付・演出/米沢唯によって生きられたシンデレラ/本島美和の成長した仙女に感動

新国立劇場バレエ『シンデレラ』を全3キャストで観た(12月15日/16日/18日)。 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ 振付:フレデリック・アシュトン 監修・演出:ウェンディ・エリス・サムス 美術:デヴィッド・ウォーカー 照明:沢田 祐二 指揮:エマニュエ…

新国立劇場 DANCE PLATFORM 2012 Aプログラム/ダンサーの質は高いが振付にはバラツキが

「DANCE PLATFORM 2012」のAプログラムを新国立小劇場で観た(11月30日)。 演出・振付:キミホ・ハルバート 音楽:M.ラヴェル、Fred Malle、小瀬村 晶 ほか 照明:足立 恒 衣裳:荻野 緑 音響:黒野 尚 舞台監督:堀尾 由紀 出演: 「skin to skin」平原慎太…

マリインスキー・バレエ『アンナ・カレーニナ』/ドラマは立ち上がらず単調/タイトルロールに問題が

ラトマンスキーが振り付けたバレエ『アンナ・カレーニナ』を観た(11月22日/東京文化会館)。 音楽:ロジオン・シチェドリン 振付:アレクセイ・ラトマンスキー 音楽監督:ワレリー・ゲルギエフ 装置・衣装デザイン:ミカエル・メレビー ビデオ映写:ウェンドー…

新国立劇場バレエ『シルヴィア』/驚嘆すべき米沢唯/相手を誠実に受けとめる菅野英男/安定した佐久間・チー組/貧弱な販売プログラム

バレエ『シルヴィア』の3キャストすべてを観た(10月27日/11月2日/3日)。 11月2日 家庭教師/シルヴィア:佐久間奈緒 召使い/アミンタ:ツァオ・チー 伯爵/オライオン:厚地康雄 庭師/エロス:福田圭吾 伯爵夫人/ダイアナ:本島美和 ゴグ:野崎哲也 …

新国立劇場バレエ『シルヴィア』初日/はからずも小野の非凡さが/音楽(指揮者)は物足りない

新国立劇場でビントレーのバレエ『シルヴィア』初日を観た(10月28日)。まずは簡単なメモから。 音楽:レオ・ドリーブ 振付:デヴィッド・ビントレー 美術:スー・ブレイン 照明:マーク・ジョナサン 庭師/エロス:吉本泰久 伯爵夫人/ダイアナ:湯川麻美…

世界バレエフェスを見なくなった訳/日本人は創作の追随者か/オペラ・バレエの引越公演/『文化からの復興』/地続き文化論

世界バレエフェスティバルを見なくなった。といっても観たのはほんの僅かの期間にすぎない。初めて見たのは12年前の第9回(2000年)で、A・Bプロを見た。第10回(2003年)も同様だ。第11回(2006年)はAプロのみ。第12回(2009年)に至ってはシムキンが出…

小林紀子バレエ・シアター ケネス・マクミラン振付『アナスタシア』全3幕/全幕としては失敗作

小林紀子バレエ・シアターの創立40周年記念公演『アナスタシア』全幕を観た(新国立オペラ劇場/8月19日)。 芸術監督:小林紀子/監修:デボラ・マクミラン リハーサル・ディレクター&ステイジド・バイ:ジュリー・リンコン 音楽:ピョートル・チャイコフ…

オールニッポンバレエガラ2012/ハイライトは米沢・厚地組/フィナーレの振りにぐっときた

「オールニッポンバレエガラ2012——日本人バレエダンサー達による復興支援チャリティー」を観た(8月15日)。会場:メルパルクTOKYO/主催:オールニッポンバレエガラ2011実行委員会(遠藤康行、西島千博、酒井はな、島地保武、山本隆之、森田健太郎、伊藤範…

新国立劇場バレエ『マノン』2012 サミングアップ 楽日【追記】/イエイツ/プログラム/照明/キャスティング【追記】/MVP

楽日を3階バルコニーの後方で観た(7月1日)。 小野・福岡組の二回目。1幕だけ見れば、この演目を何度も踊っているかのようななめらかさと美しさ。福岡雄大の挨拶のソロは、初日より抑制的で、踊りの外形よりも内的なあり方を大事にしているように見えた。…

新国立劇場バレエ『マノン』4日目 山本隆之の奮闘/寺田亜沙子の喜び/酒井はなの不在

この日のキャストは見ないつもりだったが、偶々チケットを貰いけっきょく行くことに(6月30日)。 デ・グリューの山本隆之はよく奮闘したと思う。挨拶のソロは踊りとしては物足りない向きもあろうが、理知的な味をしっかり出していた。さすがである。寝室の…