オペラ

新国立劇場オペラ『ピーター・グライムズ』(3)質の高い上演/字幕・対訳には疑問も

(字幕=対訳の不適切な部分をいちいち指摘するのは気が重い作業だが、せっかくの優れた舞台が不正確な字幕によって損なわれたとの思いが拭えないため続けざるをえない。) 第2幕 第1場から続く間奏曲 IV パッサカリアは、不吉な調べを奏するヴィオラのソ…

新国立劇場オペラ『ピーター・グライムズ』(2)質の高い上演/字幕・対訳には疑問も

前回に続き、だらだらと舞台を追っていきたい。 休憩後は間奏曲 III「日曜の朝」から始まる。ホルンが教会の鐘を打ち鳴らし木管のスタッカートで小鳥の囀りが朝を活気づけると、ヴィオラとチェロがエレンのアリアを予告するように奏し、そのまま第2幕 第1…

新国立劇場オペラ『ピーター・グライムズ』(1)質の高い上演/字幕・対訳には疑問も【加筆】

ベンジャミン・ブリテンの『ピーター・グライムズ』初日を観た(10月2日)。 指揮:リチャード・アームストロング/演出:ウィリー・デッカー/美術・衣装:ジョン・マクファーレン/照明:デヴィッド・フィン/合唱:新国立劇場合唱団/合唱指揮:三澤洋史…

世界バレエフェスを見なくなった訳/日本人は創作の追随者か/オペラ・バレエの引越公演/『文化からの復興』/地続き文化論

世界バレエフェスティバルを見なくなった。といっても観たのはほんの僅かの期間にすぎない。初めて見たのは12年前の第9回(2000年)で、A・Bプロを見た。第10回(2003年)も同様だ。第11回(2006年)はAプロのみ。第12回(2009年)に至ってはシムキンが出…

日中共同制作 オペラ《アイーダ》(コンサート形式) 堂々たる中国人歌手/挙動不審の和製ラダメス

正直、気が重かったのだが、オペラ《アイーダ》(コンサート形式)を新国立劇場で観た(7月29日)。 日中国交正常化40周年記念 2012「日中国民交流友好年」認定行事 指揮:広上淳一/東京フィルハーモニー交響楽団/合唱:新国立劇場合唱団・国家大劇院…

大島莉紗ヴァイオリン・コンサート〜パリ・オペラ座からの便り〜第2回 「実存」を音化する音楽家/新国立劇場オペラ研修所 試演会 アリア抜きのオペラ

先週の土曜日は午前11時から「大島莉紗ヴァイオリン・コンサート〜パリ・オペラ座からの便り〜」をトッパンホールで聴き、その後、初台へ移動し、14時から新国立劇場オペラ試演会の「《コジ・ファン・トゥッテ》重唱で綴るオペラ短縮版」を聴いた(7月28日)…

新国立劇場『ローエングリン』 フォークトの不思議な魅力

新国立劇場の新制作オペラ『ローエングリン』初日と四日目を観た(6月1日/10日) 指揮:ペーター・シュナイダー/東京フィルハーモニー交響楽団 演出:マティアス・フォン・シュテークマン/美術・光メディア造形・衣装:ロザリエ/照明:グイド・ペツォル…